劇場公開日 2020年7月24日

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「タッチアップのことですかね?」アルプススタンドのはしの方 MARさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0タッチアップのことですかね?

2020年8月4日
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泣ける

幸せ

甲子園野球を頑張る選手たちをダラりと観ながら、イマイチうまくいかない青春をボヤく高校生達と、熱狂的に応援する暑苦しい先生が織りなす会話劇。

全く観る予定は無かったのですが、このサイトでよく訪問させていただくユーザーさん達の評価が皆良かったので、とりあえず観に行ってみることに。

う~ん、ただ話しているだけだし、特段面白いとは思えないな~…と思っていた序盤だったが…

簡単に人物紹介

①安田:
演劇部。元からの性格なのか、ある出来事の所為なのか、少しひねくれたボヤき少女。
どこにでもいそうなごく普通の女子高生。

②田宮:
演劇部。安田の友達。性格は優しく、天然な一面も。
どこにでもいそうなごく普通の女子高生。

③藤野:
元野球部。野球部の友達に、エースで4番の天才、園田君と、万年ベンチの矢野君がいる。
どこにでもいそうなごく普通の男子高校生。

④宮下
所謂、陰キャな女の子。基本的に、成績はいつもトップ。エースで4番の園田君を密かに想う。
成績がトップなことを除けば、どこにでもいそうな女子高生。

⑤厚木先生
暑苦しいまでに大声を上げ選手を応援する教師。覇気のない安田達に元気な応援を促す。
近年減りつつあると思うが、どの学校にも一人はいそうな熱血教師。

⑥久住
・小坂菜緒と川口春奈と有村架純の可愛さを一挙に持ち合わせたような恵まれたビジュアル。
・ハイスペックな彼氏持ち。
・ブラスバンド部部長。
・成績超優秀。
・宮下のような陰キャ女子にも滅茶苦茶優しい。
・生徒から疎ましがられる厚木先生にも礼儀正しい。
・多分、料理もうまい(妄想)。

よって、現実世界では存在しえない女子高生。

…以上6人をメインに展開される物語。

上述の通り、序盤は淡々とボヤいているだけなので、評価の高さに疑問を抱いたが、トイレに向かう宮下と厚木先生が会話するシーンあたりから徐々に変化がおとずれ…

終わってみれば、珍しく涙が溢れていました(笑)
素晴らしい映画だったと思います!

登場人物はそれぞれ置かれいる状況は様々で、それの対処方法も皆それぞれ。
しかし共通するのは、「何となく諦めている」こと。

そんな陰気な会話劇が、ちょっとしたきっかけや、頑張る選手を通して熱くなっていく展開はとても良かったし、悩みもシリアスすぎない分、多くの人が共感できる作品なのではないでしょうか。
何となく諦めていること、誰にでもありますよね~。

邦画を観る割合は低めの自分に、この映画と偶然にも引き合わせてくれた皆さんに感謝です!
ホント、グッとくることはよくあっても、涙が溢れるのは年に何度も無いんです(笑)

このような情勢の今、色々と何となく諦めている人たちに是非鑑賞してほしい作品でした。

~余談~

小学生の頃、親に無理やり地元の少年野球クラブに通わされていました。
滅茶苦茶怖いコーチ・監督、そもそもそれほど野球が好きでなかった自分は当然上達せず…。

同級生が皆、試合のレギュラーになっていく中、6年生になっても万年ベンチの自分(まぁ当然なのですが。そりゃあタッチアップの意味すらまともに理解してないくらいですからw)。

しかし、いつもは怖いコーチたちが、卒業間近の試合で、お情けで自分を試合に出してくれました。
緊張の中打席に立った時、どうせ振っても当たらないし、コーチに怒られたくないし、相手ピッチャーもそこまでコントロールも良くないし…

フォアボールにでもなれば良いや!とバットを振りもせずにいた結果…見逃し三振。。
当然、コーチ・監督の怒号が飛び、速攻交代させられました。

小学生当時の自分からすれば、親に無理やりやらされていた野球でこんなにも怒られるなんて…と、このことはずっと「嫌な思い出」として残っていたのですが…

映画内で、厚木先生の「人生は空振り三振の連続」だったり、安田の「送りバントなんかで良いの?」といったセリフ、さらに、万年ベンチでも頑張るという矢野君の存在があって、、、

あの時、与えられたチャンスで勝負にすら出なかった自分が、20年以上経った今とても情けなく感じ、後悔とともに凄く涙が溢れてしまいました。そりゃあコーチたちも怒りますよね。

野球を好きか嫌いかで、矢野君と自分の立場は全然違うのですが、与えられた環境で頑張るっていうことが大事というメッセージも込められた映画だったと思うので。

今日までずっと嫌な思い出として残っていたことに対して、何十年の時を経て自分を見直す機会をもらえたなぁ~と。

いやぁ~、映画って改めて良いですね(笑)!

柄にもなく(⁉)恥ずかしながら長々と自分語りをしてしまった(笑)

これからもこういう作品に出逢いたいですね。

MAR