「タイトルなし」アルプススタンドのはしの方 またぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし
映画秘宝で大特集されているのに未見だった城定監督の映画は、前評判どおりのウェルメイドな佳作だった。いい映画です。他の方のレビューにもある「はしっこだけどど真ん中」、その通りの映画でした。
いいところは他の方のレビューに倣えで、一点だけ。
主演の小野莉奈という子は全く知らず、その演技の自然さに目を見張った。舞台でも同じ役をしていたとのこと、舞台舞台した演技されるのではと危惧していたが、特に興味がない男子との会話など本当に自然で、単に舞台を映画に置き換えた所からはみ出せているのではと思う。舞台みてないですが。 特にファーストカットなど全く可愛くも見えなかったんだけど、この映画としてはむしろこの普通さが必須だった。(帰宅して検索、本物はこの映画よりずっと可愛いことを認知しました。)
以下、僭越ながらもっと良くなったのでは、というポイントを。
まず暑い暑いとセリフで何度も言わせながら全く暑そうじゃない天気。曇っていたし、後ろの木々も風に結構揺れていたし、暑くない日だったという設定でも映画として全く問題なかったのでは? 自分はこういうディテールで乗らなかったりするので気になってしまった。あと、やはり先生がキンキンがなるのとか矢野のバッティングの真似を繰り返すところは微妙な伏線になっているとはいえもう少し普通でも十分だったかと。吹奏楽部の三人のうち二人とか、ラストにいいところが出るなら中盤もう少し膨らませといてもとかね。
おそらくロケ地とかエキストラとか撮影日数とか、考えられないほど低予算で製作されているんだと思う。Netflixなどで金をかけた映像に目が慣れてしまうと、こういう良作にもあと少し資金がかけられればと(、逆に画面を貧相に見させないようにもしてもらいたいと)、思ってしまいました。