「【”無私の奉公” スタンリー・キューブリックとイタリアの車好きな男との深き友情を数々の映画製作のエピソードを絡めて描いたドキュメンタリー作品】」キューブリックに愛された男 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”無私の奉公” スタンリー・キューブリックとイタリアの車好きな男との深き友情を数々の映画製作のエピソードを絡めて描いたドキュメンタリー作品】
ースタンリー・キューブリックに作品制作にこれほどまでに献身的に使えてきた人物がいることをこの作品で初めて知った。彼の名はエミリオ・ダレッサンドロ。
この作品で、スタンリーとの思い出を語る彼は、とても優しい目をした好々爺である・・。
だが、この作品では、彼が如何に真面目にスタンリーからの実に膨大で、繊細な依頼をこなしていたかが描かれている・・。-
・スタンリー・キューブリック監督作品を見れば、異常なまでの完璧主義者であり、繊細な心を持っていた人物であっただろうなあ・・、とは思ってはいたが、ここまでとは思わなかった。
・エミリオとスタンリーとの最初の出会いのきっかけが面白く”「時計じかけのオレンジ」のアレを運ばされたのね・・。
そして、彼の運転のスキルを見込み、運転手として雇用したはずのエミリオへのスタンリーの依頼は、「キューブリックのルール 12か条」から始まり、車以外の事にまで及んでいく。
そして、その依頼は実に細かい。
だが、エミリオは家族との関係を一部犠牲にしてまで、彼の要求に答えていく。
・当然、スタンリーにとって、エミリオは必要不可欠な存在になる。が、スタンリーは
エミリオを只の便利屋として扱っているわけではないことが、膨大なメモのあちらこちらに遺されている・・。
・又、スタンリーが、いかに不安定で、甘えん坊だったことも描かれる。何とか、エミリオを自分の傍に引き止めておきたいがための、数々の”仕掛け”。
微笑ましい・・。エミリオの奥さんは怒っていたけれどね・・。
<エミリオの真面目な性格と、スタンリー・キューブリック監督の完璧主義で繊細な性格との相性が、とても良かった事は、今作品を見れば良くわかる。
そして、スタンリー・キューブリック監督の数々の名作の隠れた立役者が誰であったのかも・・。
素晴らしき、ドキュメンタリー作品である。>
■蛇足
・忙しかったのだろうが、エミリオがスタンリー・キューブリック監督の作品を彼の死まで見たことがなかった・・と言う事実も微笑ましい・・。