犬王のレビュー・感想・評価
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音とシンクロしないミュージカル部分がちょっとつらい
室町時代の観阿弥・世阿弥と同時代に人気を博した実在の猿楽師をかなり大胆にアレンジしたミュージカルアニメでとにかくライブパフォーマンス部分が圧倒的に長くて音楽のみを堪能させられる型破りな(常軌を逸した)構成で、宮崎駿が観阿弥、新海誠を世阿弥とするならまさに犬王こそが湯浅正明かもしれない。壇ノ浦出身の琵琶法師・友魚とバディを組んで京の六条河原の「路上ライブ」からスタートして芸能界の頂点に昇りつめてゆくのだが「ボヘミアン・ラプソディ」のフレディ・マーキュリーとブライアン・メイを彷彿とさせ観客が「ドンドンパッ」のリズムで乗るくだりは「We Will Rock You」そのまんま。アコースティックな琵琶の音色ではなく70年代の名バンド四人囃子のリフを想起させるエレキギターでぐいぐい引っ張りクライマックスで金閣寺の舞台に出て行くメンバーの姿を背後から撮ったのはクイーンがウェンブリー・スタジアムのステージに出て行くシーンを明らかになぞっている。志は高くて共感できるのだが決定的に残念なのは音とアニメがシンクロしていないこと。諸般の事情はあるだろうがやるならとことん。公開を1年延期してでも出来上がってきた音楽に合わせてアニメをやり直して欲しかった。
好みは別れるかも
後半犬王の歌声(歌い方息遣い含めて)が声優のKENNさんに激似で 気になったらそうとしか聴こえなくて 「もう最初から全部けんぬでええやん」というのが1番の感想(個人的嗜好)。…というのはさて置き…平家物語を現代に当てはめた解釈で舞台は室町。ってことでいいのかな?アニメっていつもそうだけどキャストが違ったら評価も違うのかも。話題性が欲しいアニメファン映画ファン以外の観客が欲しいのかもしれないけれど メインキャラは本職の声優を使って欲しい。歌は流石と言えるのかも知れないけれどセリフが滑る。慣れない時代の物語だから余計内容が頭に入ってこない。絵はキレイだったし曲にも合ってたとは思う。でも歌唱部分がくどい。途中路上ライブでは「語り継ぐべき平家物語」感が薄れていたのに ラストで独自の平家物語のパフォーマンスを主張されてもなぁ…沙汰は理不尽であっても説得力はない。もう1度観に行くより円盤買ってもいいかな…と思う程度には面白かった。
世界がアヴちゃんを知ってしまった。
ロックです
もう一つの平家物語のよう
二人の友情と人生、その栄枯盛衰を描いた物語。
先立って放送された山田尚子監督の「平家物語」、その200年後を描いた本作「犬王」。
ともに古川日出男原作で制作も同じくSARUという繋がりもあります。
そんな本作は、もうロックオペラと言って良いでしょう。
二人が出会って最初のセッションのシーン。
あれなんてロックンロールの初期衝動そのもので、観ていてかなり響きました。
それとアヴちゃんが圧倒的。アニメーションの演出に全く引けを取らない歌声に驚かされました。
お互い「何者でもない」ところから結びつけた起用だったのかもしれませんね。
もう一人の主演森山未來も良く、気がつくと歌い手と踊り手が逆なのも面白いです。
それとやはりTVシリーズの「平家物語」を観ていたのは良かったです。物語が入ってきやすいですし、特に犬王が歌っている内容がわかりやすかったです。
それと前編自由度の高い演出には、やはり湯浅ワールドが感じられ楽しいですね。
こうして導かれるように出会った二人は圧倒的なパフォーマンスで民を魅了し、頂へ届くかのような栄華を極め、そして消えてゆく。
それはもう一つの平家物語のよう。
最後、会いに来てくれたような優しさがゆっくりと沁みました。
楽しめた
まやかしの現世では仮面をかぶる
四畳半神話大系や夜は短しの湯浅監督作品と聞き、見に行った。
森見節全開で台詞回しが特徴的な四畳半と比べて、犬王は光の表現に凝っていた。
その理由には能という劇中劇のシーンが多いこと、そして友魚の盲目にあるように思う。真っ暗な室町の夜に映し出される犬王の舞台。そして友魚の感じる音だけの世界もまた、暗闇の中に僅かな手がかりが浮かび上がる。
ラストのあたりで2つの疑問が残った。
1つ目は、師である谷一や琵琶法師の仲間が必死に守ろうとしても自分の名前を変えようとせず、自分の曲や友有という名前を守ろうとした友魚が、なぜ最後は友魚という名前で死のうと思ったのか。
死後に名前が違うと探せないから最初に教えた友魚という名ということなのだろうか?それとも自分の原点は犬王と最初にあったときのように純粋に音楽を楽しみたいからという意味なのだろうか?
2つ目は、犬王がプライドと自分の曲を捨て帝に取り入ったこと。そして死後に友魚を探し当てたことだ
命は助かっても自分が築きあげたものを捨て、自分が感じるものとは異なる舞を踊るのは苦痛ではなかったのか?
この世は仮面、まやかしのようなものといった意味合いのセリフが劇中にあったが、まやかしの現世は仮面をかぶり帝のもとで能楽師として生き、そこから開放されたあの世では本心を出せる友魚と舞い歌うという意味だろうか?
今後ネット配信されたら見返して考察してみたいと思う。
全体としては少し人を選ぶ作品なのかなと言う印象。
説明的なセリフは少なめで、いきなり場面が変わり数年の時が経っていることも度々ある。また、舞台のシーンが多いが歌詞がやや聞き取りづらく置いてきぼりにされることもある。
舞台の音楽やダンスもエレキギターが聞こえてきたり、ブレイクダンスから新体操やバレエなど、いやありえへんやろ!とツッコみたくなる人もいるだろう。
ただ印象に残る音楽や映像も多く、刺さる人もいるのではないか。私は腕塚の曲と鯨の演出、そして無音で花吹雪の中を舞う犬王の映像がとても良かったと思う。
90分ではとても足りない
湯浅節ならではの痺れるアニメーションと、アヴちゃんでないと成し得なかった歌い語り。琵琶の響きとロックの心地よさにミュージカルシーンではもっと弾けるかと思いきや、敢えて肉体一つで描かれる場面も多かったので、ストイックな描写がジリジリとこちらの欲求を焦らしてくる。(語りを聞く力が必要なので、追いきれなかった場合は歌詞カードを読むとなるほど合点がいく)
度々繰り返される振付は、人々に語り継がれていく様を表しているのか。その効果もあってラストシーンは強く心惹かれることに。
当時の民衆にとって見物は至高のエンターテイメント。そこに湯浅アニメーションが現代のエンタメ沼に浸されきった私たちをぐっと引き寄せ、沸き立たせてくれる。
語り継がれてきた物語が題材なだけに登場人物を深掘りするわけではなかったので、人物像を追いたい人には少し物足りないかもしれない。でも必要なことは手際良く収められているのであまり気にしなくて大丈夫。
もっともっと爆音で、
もっとずっと長く堪能していたかった。
ブロマンスとフェス
お目当ての映画が時間合わず、たまたま犬王にしたんですが、僥倖でした。
観終わったあと、またすぐに観たくなって翌日も行きました。
主役のお二人のパッションが炸裂してます。
製作陣豪華絢爛。
歌も演出も最高。
ドンドン!パン!で体が動きそうになりました。手拍子したくてたまらなかったです。
あと犬王に白羽の矢がたった時、犬王に打診する犬王父がやたらいい声やなと思ったら、ツダケンさんで納得。
レビューが賛否両論なのを知り「マ!?!?!?!?」となっています。
刺さる人には刺さる。
ブロマンス好きだったら観てほしい。
あと3回は観に行くと思う。
自分でつけた名前を名乗り、自分たちが拾った物語を歌う。その生き様がかっこいい。
いったん自分の中の常識は横に置いて「見届けようぜ」です!
100分切ってるとは思えないほど退屈
女王蜂がとても好きで、湯浅政明監督も嫌いではないので期待して見に行った。
原作には触れていない。
形は違えど、等しく権力欲に虐げられた2人が出会うところまではとても楽しめた。
仮面越しに、もしくは聴覚で風景を感じ取る描写も、斬新とは思わないが効果的だった。
その後が最低。
突然始まるロックフェス風の演出、はまだいいとして…
琵琶と太鼓しか映像にないのに鳴り響くギターとドラム…ギャグですか?
映像には正解がないので、どんなに荒唐無稽になろうとも、作中の人物の心象風景として受け取れる。
しかし音と映像が組み合わさり、その風景に人々が熱狂する描写まで入れたら、それは作中の現実の風景となる。
そこでギターがなり、ドラムが入り、なのに琵琶や太鼓しか並んでいないのは猛烈な違和感でしかない。
アニメーションの持ち味は、実際のライブや舞台の映像を非現実の力によって超えていくところにあるはず。
現実にあり得そうなライブ映像や大掛かりな舞台装置の描写をして、音楽はちぐはぐというのでは明らかに現実以下。
違和感を覚えさせ没入感を剥奪するような、何がしたいのかと疑問しか持てない、的外れもいいところな演出のシーンが延々と続き、苛立ちさえ覚えた。
そもそも曲も古臭く、革新性がないのでもう何を見せられているのか…
いいのはアヴちゃんの声だけ。
そして脚本も、虐げられたものの生き様、芸事を極めることの苦悩などを浅く行ったり来たりするだけで、人物の関係性や内面などに踏み込んでいかないのでペラッペラ。
主人公たちがのし上がって行く過程や苦悩も何も描かれないため、曲を捨てろと言われて抵抗することにさえ共感出来ない。
強い絆で結ばれる過程の描写がないので、友魚は途中犬王を利用して金儲けをしようとしているようにしか見えず、友を守るために曲を捨てた犬王、抵抗の末斬首される友魚と悲劇的な最後にも腑に落ちるところがない。
人間臭さを感じられたのは犬王の親父くらい。
後半は終始違和感と退屈以外何も感じられず、時間を無駄にしたことと、一流が揃ってもこんなものができるという悲しみが心に沁みた映画でした。
世(政治)に対する音楽
平家が滅んだ後の時代、大衆の娯楽として繁栄する音楽(能)を通して描く娯楽の在り方をロックにのせ描き切る。
自由を求め、政に対しても自らの音を奏でようとする。
どの時代にも魂の叫びの如く言いたいことを歌に乗せることで大衆の心を掴むが…
いまに通じる思いや感性を感じられ、そしてその残酷さも描き切ったことが心を動かされました。
考え抜かれたエンターテイメント作品!
スタッフが湯浅監督、野木亜紀子さん脚本、大友良英さん音楽、キャラデザは松本大洋さん。
「これは良い作品にならないはずない!」と楽しみに鑑賞。
本作と繋がりを持たせてあるアニメ「平家物語」もとても良かったのでその点でも期待大だった。
観た後の感想。
これはとても良いエンタメ作品だと感じた…!!すごいぞ。
まず冒頭からスピード感あるアニメーションと演出が格好良くて作品に引き込まれずにはいられない。昔話の絵本のような絵柄も味があるし、湯浅監督の作品は「アニメーション」という形じゃないと表現できないよなあ、といつも画に惚れ惚れしてしまう。
壇ノ浦で生きる友魚は平家の滅亡で水底に沈んだ三種の神器の捜索に巻き込まれたことで父親を亡くし、自身も失明してしまったことで復讐の旅に出る。
そこで彼は琵琶法師と出会い、自身も琵琶法師の道へ。
師となった琵琶法師と京に辿り着いた友魚は、申楽の家に異形として生まれた犬王と出会い、一緒に平家の亡霊たちから聞いた物語を新しい申楽の形にして人気を博していく……という物語。
新しい形の友魚の琵琶(?)の弾き語りが始まった時、「あ、これは申楽を現代の音楽ライブに見立ててるんだ」と理解。
観客を煽るし、コール&レスポンスさせるし、手拍子やこぶしを振り上げるよう促すし、観客とステージの間の仕切りスタッフがいるし、もう完全に現代のロックフェス状態。笑
そして犬王の謡と舞いももう完全にステージのショー。
またそのステージを丸々全部見せるので、もう映画を観てるというよりも、ライブビューイングしてる感覚。
あの感覚はちょっと面白かったな。
そして、犬王の声は歌唱パートも含めて女王蜂のアヴちゃんがあてているんだけど、これが本当にすごい。
観終わってみると犬王役はアヴちゃんしかいなかったと思う。
命を削って乗せているかのような切なさと迫力がある。
あれは劇場で聴くのが良い…。
そう、本作はあのライブをやりたかったのだと思う。
あの時代設定で、アニメーションで、だからこそのあのライブを。
そういう意味で本作は映画であり、ライブ映像でもあるのだと思う。
能楽(当時は申楽)を私たちがとっつきやすいロックのライブにしてしまった。
作り手の想いを詰め込んだ作品でありながら、最大限エンターテイメントにしようという気合いを感じる。
今回の脚本の野木亜紀子さん、社会問題とかシリアスな主題を誰が観ても楽しいエンタメとして描くのがめちゃくちゃ上手い方と認識しているんだけど、そういう意図もあっての起用だったのかなあと色々考えながら観ていた。
あと野木さんといえば、社会的な弱者や、世間から認知されなくても懸命に生きる、名もなき人々へ視線を向け続ける方という認識もあるのだけど、そこも今回友魚や犬王に受け継がれていると感じた。
平家の沢山の魂から物語を拾い上げようする2人の眼差しがとても良い。
そう、そして切ない友魚と犬王の友情も良かった。
犬王については資料が残されていないらしいけど、本作はそれについての歴史の一解釈としても面白い。
あと犬王の境遇は完全に「どろろ」オマージュだったよね。ライブシーンはQueenオマージュっぽいのもあったし、色々オマージュ探しも面白そう。
このともすれば地味になりそうな鎌倉時代の文化の話をこんなエンターテイメントにした作品として拍手喝采。
楽しい劇場体験だった。
映像と歌声はすばらしいが難解すぎた
湯浅政明監督で野木亜紀子脚本なら観てみようと思った本作。
あの時代の日本の雰囲気がとてもきれい。友魚と犬王の動きもカッコよかった!アヴちゃんの声にはしびれたし、映像的にも圧倒された。でも、個人的にあまりハマらなかった。
琵琶法師の演奏なのに流れるのは普通にロックになっていたし、犬王の踊りもモダンバレエやブレイクダンスを観ている感覚になってしまった。それでいて歌声は甲高い。観客も手拍子で応える。なんかクイーンのライブを観ているようだった。いくらなんでも違和感あるだろう。
しかも、歌声があまり聴き取れないから何を歌っているのかわかりづらい。日本語字幕版なるバージョンが上映されている意味はここか!と納得するくらいだ。
面白さが全くわからないとまでは言えず、でも手放しで絶賛もできない。たぶん私には難解だったってことなんだろう。とても微妙な映画。また観ることで印象が変わるのかもしれない。いつかそんな日を待ちながら今回はやや低めの評価としておく。
引き込まれた
駄作。ほとんどミュージックビデオ。
だいたい予想通り
特報が『監督◯◯、脚本◯◯、キャラクター原案◯◯、音楽〇〇』って、『この作品のためにかき集めました』っていうスタッフの紹介だったんだよね。「内容に自信があったら、内容の紹介をするのでは?」と思ったので、内容は期待してなかったの。
だいたい予想通りだったかな。
伝統芸能と絡めながら『ほら、こんな画ができた』『こんな音楽も』ってやってるんだけど「それがどうした」っていうクオリティなんだよね。
なにがしたいのか分からない作品なの。
原作のストーリーについては、そんなに語ってないから、そこはウリじゃないと思うんだよね。
『音楽と映像で魅せてやるぜ!』ってことだったと思うんだけど、肝心のそこがショボい。主演は野村萬斎の方が良かったんじゃないかな。琵琶の調べにのせて、劇場を黙らせるようなパフォーマンスって、それなりにその道の人じゃないと難しいのでは。
最後のパフォーマンスもほぼ新体操だったね。あれ『モーションキャプチャーしてんだよ、すごいでしょ』ってシーンかな。
観てて思ったのは、《アニメ》っていうジャンルが《猿楽》に完敗してる。それなりの高さにある他のジャンルをアニメはまだ取り込めないんじゃないかな。それはなんでかって言うと、多分、造り手の勉強不足だと思う。アニメ以外の他のジャンルも吸収して、すごいものを創って欲しいな。
舞台は新鮮だが
室町時代×ファンタジー、は珍しい。
ミュージシャンの路上ライブで売れていく、は室町だから新鮮だが、ネタとしてはありきたりでやはりすぐ飽きる。友一ライブはくどい。
犬王のライブごとに舞台を作るのはすごいが、なくてもファンタジーなイリュージョンで何とかできたのでは…。犬王ライブは楽しめた。
友有の死までがダラダラとしていて意外性が弱まってると感じる。
ラストの現代も余分なのでは?
地縛霊?となり解放されるまでなんで600年かかる?
コール&レスポンス
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