犬王のレビュー・感想・評価
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ロックナイズされた平家ミュージカル
アニメは好きじゃなく、基本的に観ないですが、評判が良かったので観てみました。
感想は、そこまで良くなかったけど、そこまで悪くもない。
「WE WILL ROCK YOU」のリズムで歌詞の違う歌を歌ったり、
ポップスだけど、マイケル・ジャクソンの動きをしたり、
とっつきやすくキャッチーになってます。
ブルースだけど、ロバート・ジョンソンの…だったりってのも…
音楽ファンはニヤリとする事が色々ありますね。
個人的には、まあまあ楽しめました(笑)
虐げられし者の歌
湯浅監督、キャラクター原案が松本大洋と言われたら、観ない訳にはいかないでしょう。そして女王蜂のボーカル、アブちゃん。幅広い、性別を超えた歌声が聞けそうだ。
歌うのは森山さんなのかい! しかし上手。感心。
ナレーターの言う通り、「400年昔のこの国の物語。奪われ失われた私たちの物語」
壇ノ浦で滅んだ平家が海中に落とした草薙の剣の力により盲目とされ琵琶法師となった友一と、猿楽の名家に生まれたが異形のためにいないこととされている犬王。ふたりが組んで、それまでにない自由な猿楽で大衆の人気を博す。
まるで呪だな、と語る犬王と友一。平家の亡霊たちに「順番に話せ、お前たちの物語を」と問いかけ、埋もれた平家の物語を拾い続ける。南北朝~室町なんだものね。混沌の中にあるのだろうな。
堪能しました。レビュー書くのが遅くなってしまったので、記憶が薄れているのが残念。
それでも「"異形" とは(本人にとっても、周囲にとっても)忌み嫌われ、避けたくなるべきものなのか」というメッセージだけは、心に残っている。
日本の音楽が消え、アメリカのロック万歳に
能楽師と琵琶法師の話ということで、三味線を弾く身としては日本の音に期待して観に行った。
でも、音楽がアメリカのロック寄りになっていくにつれ群衆は熱狂。クイーンの有名なリズムまで出てきた。
舞も最終的にブレイクダンスやバレエの動き。
日本の音階やリズム、五線譜には当てはまらない日本の音楽は消えていった。
結局はクイーン世代の人が作ったのだろう。音楽が大友良英さんなのにと思ったけど、大友さんは違う形を提案してたらしい。
日本の舞にもゾワっとして高揚するような踊りがあるのに。
ストーリーも、犬王は手塚治虫のどろろを連想させる。
しかし魂を売った父親は、結局あれだけの事をしたのに何の才も手に入れてないのが疑問。
映像の見応えはあった。
アメリカのロック自体は嫌いじゃない。
ただ平家物語をやるのなら、もっと日本の酔狂な音を拾ってほしかった。
何故か面白い
なんじゃこりゃー
オチが後味悪い
最後の天女の演出がライブの中で一番微妙だった。細かく波打つ布の表現が手抜きかと思った。
他のライブは化け物だからこそできる演出でリアルにできそうな説明がされててよかった。
オチは現実的すぎて映画にした意味ある?って思った。
主人公が友のため権力者に飲み込まれ歴史から消えていく
だけど友は既に処刑されている。
熱狂するファンは一時的な熱と勢いはあっても
処刑の時に助けてくれたり直接的に助けになることはない
でも平家にこんな物語あったよ、犬王ってのがいたよって伝わったから意味あったんだろうけどさ
こちとら諸行無常を日々感じるリアル生者なので
フィクションの中でわざわざ突きつけられたくない。
見る意味なかった。
猿翁の仮面はめっちゃ怖くてよかった。オチ以外の演出も。
諸行無常が好きな人や
最後を救いとして捉えられる人には完璧な映画かも
アヴちゃんが南北朝に生まれていたら…
女王蜂ファンなのでアヴちゃんが声優をやるということだけでも興奮するのに、監督が湯浅政明さん!絶対映画館見たい!と思い見に行きました。
大胆な解釈だけど、最高にロックでかっこよかった〜〜〜!!!
圧倒される歌声!!
アヴちゃんが南北朝に生まれていたら犬王になっていたと思う。
森山未來くんとのペアも良かった。
NEOLの2人のインタビューも最高でした。
外連味のある舞台だけでなく、その装置までもきっちり見せてくれるところがすごい一作。
湯浅政明監督の『DEVILMAN crybaby』(2018)を彷彿とさせるような、友情とも愛憎とも、何とも言いがたい男同士の関係を描いています。犬王という能楽師は実在したとのことですが、その名前と能楽の発展に寄与したらしい、という以外はほとんどその素性が知られていない人物です。それだけに、物語を膨らませる余地が大きいと湯浅監督は考えたのか、驚く程創意に満ちた映像と音楽で満ちています。
異形の者でありながら、人々を惹き付けて止まない魅力と超絶的な身体表現能力を備えた犬王というキャラクターの存在感は、アヴちゃん(女王蜂)の見事な声によって裏付けられています。確かに力強いがどこか心に引っかかりを残すような歌声がむしろ、生と死、栄光と破滅の瀬戸際を敢えて選んで歌い、躍る犬王の姿と完全に溶け合っています。
主人公の犬王と友魚(森山未來)のパフォーマンス場面は、時代考証を度外視した、現代のライブ会場そのものという描写なんですが、フィクションとして描きつつも、細かな舞台装置を間に入れ込んで、まるで目の前の舞台装置を本当に人が動かしているような錯覚を与えてくれます。この「虚構の中の現実感」を描くという、本筋とは直接関係してこないところに多大な力を注いでいるところに、湯浅監督の凄みを感じました。
パンフレットは絵コンテなどの資料やインタビュー、アヴちゃんと森山未來のポートレート写真など内容が非常に豊富で、読み応えがありました!
00年代サブカル中高年達の立派な墓標
絵に描いたような時代劇×ロックオペラ。
ストーリーも一切の奇を衒わない直球のもの。悪く言えば色々な何処かで、散々見てきたプロット。
つまりは物語よりも、音楽やビジュアルを混じりっけなしで堪能してくれ。そのために物語はあえて様式的にしておいたぞ。という意図なんだろう。
ということみたいなので、音楽を軸に見るのだが、一言で言えば「感覚が時代遅れ過ぎて中年臭い」。
楽曲は80年代ロック丸出し。和風ロックみたいなことをしたいんだろうが、和楽器バンドを通り越して、感覚的にはほぼ人間椅子(人間椅子の方がカッコいいけど)。
後半はQueen色が強すぎて、ほぼ替え歌。王冠被って直訳で歌ってた「王様」を久しぶりに思い出した。
その上でさらに引っかかるのが、「ロックが我々を何かから解放してくれる」なんて価値観に、いまだに信心深いということ。驚かされる。いつの時代の話だ。
大見得切ってストーリーを捨てた割に、楽曲の力が全然及ばず。その背景にある想いも、アンティーク過ぎて動いてない。この時点で、映画の骨格は崩壊してる。
そして全編に漂う「00年代サブカルに引き篭もる中年の加齢臭」も、酸味がキツくてなかなか厳しい。公開時期を20年間違えたんじゃないかい? あの頃遊んでた人達は、もう誰も残ってませんよ? みんなAdo×中田ヤスタカの『新時代』を聞いてるみたいですよ。
抑圧されてもアイデンティティを捨てない路上のロックスターよりも、よりメジャーである為に作家性を後回しにできるAdoと中田ヤスタカにこそ覚悟を感じる。
とまぁこれは個人的なアレが過ぎるかもしれませんが。老人ホームでライブエイドの話に花が咲く時代です。それが素敵だと思うならば、どうぞご自由に。
無念に怨念はロックなのだ
葬り去られた声なき弱者の声を代弁することで
同様に弱者である自らもまた癒されてゆくこと。
「表現とは」について、なんて言葉があったような、なかったような。
不思議な運命を背負った犬王の活躍を追いながら、そんな事を巡らせる。
だからして原作者は、監督は、己が身も省みたりしたのだろうか?
自らが語る「ものがたり」についてもまた、重ね合わせたりしたのだろうか?
素人の邪推が止まらない。
基本的に徹頭徹尾、暗く残酷な話を
ここまでパッション溢れる前向きな展開で描き切った事に凄味を感じる。
アニメーションとしての動き、その躍動感も凄まじい。
おかげで無念、怨念のままに吠えまくる琵琶法師にあおられ
雅な世でありながら、気付けばコチラもすっかりヘッドバンキング。
同時にコレ、「自分よりも強い奴を倒せ」のCM
ペプシコーラ桃太郎編の世界観では?
と気づいてなおさらノリノリになってしまった。
そう、「表現」は昇華であり癒しなのだから、
それこそ犬王らの願うところだろう。
盛り上がって、燃え尽きろ。
あと、時系列、縦横無尽な構成の脚本に、野木さんの仕事だと知ってうなずいたな。
天に向かって
犬王最初の舞台。天に向かって伸びていく腕、突き出された拳が、自分的にはクライマックスだった。あの拳には、異形の者が持つ得体の知れない力が込められていたように思う。
犬王は人の姿を取り戻す度にパワーが落ち、普通のパフォーマンスに近づいていったのではないか。と言っても、室町時代に平均台の技やシルクドソレイユを想わせる動きは普通のパフォーマンスとは言えないが、せっかくのアニメ作品。人間に出来る動きに縛られる必要はなかったのではないだろうか。
アヴちゃんの声は素晴らしかった。「鯨」が始まった時、クイーンかよって思ったけど、アヴちゃんの声と和のメロディーに持ってかれました。大騒ぎしながら観てみたいですね。
あと、面を取った犬王はもっと絶世の美男子かと思ってました。そこは残念。
ロックミュージカルとしては最高峰だったが…
う〜ん。ロックなシーンは本当に出色だったけど…
なんともストーリーがイマイチ。
物語のキーアイテムにしか見えなかった呪術的な宝剣が途中で放ったらかし…
勝手に想像しろってヤツ?
それじゃ物足りんわ。
義満にも気に入られ、世阿弥もリスペクトしていた犬王の作品が、何故?後世に残らなかったのか?
その謎に仮説を立てなかったのが、最も残念なところ。
クライマックスの皆既日食も最高のアイデアだったのに、なんで定番のダイヤモンドリング派手にやんないかねえ…
定番すぎて恥ずかしかった?
せっかく曲それ自体は、ピンク・フロイド『Eclipse』のオマージュのようにも聴こえて、かなり盛り上がったのに。
声優陣もイマイチだったなあ。
義満の素人臭さはワザと?
松重豊も”らしさ”が出てなかったなあ。
せっかくアヴちゃん使うなら、ロックしまくる友魚の方が良かったんじゃない?
己の才能を開花させていく各フェーズ毎、異形から徐々に人間の体に変容していく犬王の心理面の変遷を全く描写しなかったのもワザと?
全くもったいない。
比叡座の座長が犬王の父と言うのも分かりづらかったし。
その父が固執していた能面も、 代々の能楽師の念がこもっている設定ゆえ、本物の能楽師4人の声を重ねたらしいが、聴き取りづらく最後の台詞以外は何を言ってるのか分からなかった。アイデアは良かったが、1人の声を多重録音した方が聴き易かったはず。
今回は歌詞の字幕付きヴァージョンで観たが、音楽以外の聴き取りづらい台詞にも全部字幕を入れて欲しかった。
南北朝時代と現代を融合させた快作
5月28日に全国ロードショーとなった作品ですが、7月も中旬になった今でも少ないながらもまだ上映が続いており、人気の高さを証明している感じでした。上映館、上映回数ともに減ってしまっているものの、逆にそのせいで私が観に行った回は9割方客席が埋まっていました。
小説の原作は未読でしたが、室町時代前期の南北朝時代の歌舞音曲と現代のバレーやダンス、ロックを融合させ、とかく国籍不明のアニメ作品が多い中、日本ならでは作品に仕上げていたのは凄いと思いました。また声の配役も絶妙で、犬王を担当したアヴちゃん、友魚を担当した森山未來は、これ以上ないハマリ役でした。というか、彼らの存在があったればこそのアニメ化だったように感じられました。
歴史物、時代物という観点では、戦国時代や幕末~明治維新期の作品は数多あれど、南北朝時代を扱ったものは少なく、その点でも新鮮でした。
また人物描写も素晴らしく、南北朝を統一し、世の中の安定を図ることで足利将軍家の支配を安定化させようと考える足利義満や、芸のためなら全てを投げ打つ芸道の鬼と化した犬王の父親、義満に寵愛され能楽の保守本流となった世阿弥など、観ている方の想像力も掻き立てる程の出来栄えでした。
最後になりますが、犬王そのものが実在の人物であることを知り、自らの不明を恥じるとともに、驚愕しながら映画館を後にしたところです。
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