「甞て栄光を誇った平家の無念や怨念に寄り添うエネルギッシュな作品」犬王 葵須さんの映画レビュー(感想・評価)
甞て栄光を誇った平家の無念や怨念に寄り添うエネルギッシュな作品
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最初に、この作品はグロテスクな描写があるのでそういうのが苦手な人はやめておいたほうがよいと忠告させて頂きたい。
この作品は、最近見たガリーボーイを思い出すようなミュージカル的表現を全面に押し出した作品だ。2021年にその名も『平家物語』というアニメが放映されおり、この作品はその一年後のアニメ映画作品。個人的に2022年に厳島神社を訪れており、縁を感じて気になっていたので視聴。平家物語が最近になってクローズアップされる理由は、バブル期の日本を懐かしみ今の日本の状況を憂う作り手達の本能によるものなのかなと本作内容にはあまり関係ないが思う。
作画表現は一品。テーマ性も悪くない。しかし個人的にミュージカルの映像表現によって展開にダレを感じた。映像表現はとても良いので、アニメおたくにはお勧めたい。内容的には歴史好きにももちろんオススメだ。
最後に、日本神話が好きな自分としては、三種の神器の一つ草薙剣を海から引き上げた時の描写が、シーンは短かったが強く印象に残った。三種の神器は、実際存在するもの(海に沈んだり行方不明になって再度作られたものもあるだろうが)であり、一般に目に触れうるものではない。そういう日本の文化の中で大切で重要なものを、フィクション内ではあるものの実際にあるものとしてその凄まじい霊威を表現した勇気と表現力を称賛したい。
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