「こういうの好き、アニメの『平家物語』と一味違う。」犬王 れいんさんの映画レビュー(感想・評価)
こういうの好き、アニメの『平家物語』と一味違う。
湯浅政明だ。
ミュージカルというより確かにロックだったが、
歌も映像も最高レベル。
歌詞も何も聞き取れないロックが苦手なので不安だったけど、この映画のなら全然楽しめた。
アニメの『平家物語』も好きだし、この映画の一変とした表現の仕方も好き。
歴史ものでありながら、エンターテイメント性全開だった。しかも珍しく褒め言葉の「エンターテイメント性」(個人観点からの)。
「この映画は一体何を言おうとしてる?」と映画を観たあとたまにこの言葉でマイナスの評価をつけるが、この映画は歴史コンテストがあるせいか、その表現の豊かなせいか、自然と傍観者として、物語にもかかわらず、こんなことあるだろうと歴史に溶け込んだり、楽しめたりする。
そして一つ考えさせられたとしたら、
人間は歴史を振り返るだけでなく、歴史となる人が、いつになっても、未来と呼ばれるものに向き合っているということ。今私たちの立って、存在している場所にも。
映画最初と最後のシーンは、時間を跨く奇妙な体験を与えてくれた。
ただ、唯一「目の前」しか、目の前におかないものは、統治者だ。この映画の場合は幕府。過ぎ去った時代の王朝、政権、そしてそのシンボルであった天皇を、それに関する言説、作り話と共に葬るつもりしかない。それはいかにも、悲しいことだった。
幸いなことに、今の人間がその音を拾っているのだ。
犬王の音がこの世にも響き渡っているのだ。
歴史を描き、未来を案ずる綺麗な歌だ。
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