「やばい権力者はいつの時代も大衆芸能を封じる」犬王 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)
やばい権力者はいつの時代も大衆芸能を封じる
異形として産まれた能楽師の息子、犬王と
漁師の息子ながら、平家の因縁により
盲目となってしまった友魚(トモナ)とが出会ったことにより
型破りな舞と音曲が生まれ、大衆の心を掴むも
時の権力者の弾圧により2人の絆は絶たれてしまう〜
琵琶などの和楽器と現代の楽器を融合した斬新な音楽と
流石、湯浅監督と唸ってしまう躍動感あふれる動きに
圧倒されるミュージカル時代劇アニメ作品でした。
音楽を楽しむ映画はやはり映画館の音響で観たい!
そして、河原の民衆と同じ気持ちになれるように
映画館でたくさんの人達と一緒に観たい作品です。
コロナがもっと終息したら、一緒に歌って良し上映を
是非企画して欲しいですね。
で、大衆にあまりにも支持された過ぎた犬王は
やがて権力者からその舞と唄を封じられてしまう。
民衆に不誠実な権力者ほど、表現の自由を弾圧しようとする。
表現の自由の無い国がどうなっているのか?
それがもし現代の日本なら?そう思いながら観て欲しい作品です。
で、月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
時代劇のおもしろいところは、実際のことは誰もわからないのだから
想像力次第で何でもあり!のところ。
とは言えあまりにも絵空事ではアニメだから何でもあり〜〜
で片付けされてしまうので、昔から使われる舞台装置を再現し
あったかもしれない世界を作り上げているところは
流石に湯浅監督でしたね。
ただちょっと気になったのは、
異形として産まれた犬王が、新しい舞を完成させる度に
「どろろ」の様に人の体を取り戻すのですが
異形だからこそ出来た舞は2度と出来なくなってしまう。
それはそれで、異形を否定している様で少し残念な気がしました。
大事な友の命を守るため自分の信念を封印する犬王。
最後に何か権力者に一矢報いる描写があればカタルシスがもっとあったかも〜
最後に何か権力者に一矢報いる描写があればカタルシスがもっとあったかも〜
欲しかったですねー。スカッとするだろうなあ。
実話だからそこは無理だったのかな?いや、600年後に一矢どころか大勝利なのか。