「怨霊」犬王 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
怨霊
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鮮やかな立ち上がり、多彩な画とテンポの早い展開。気持ちは高まり、この2人からどのようなアートが生み出されるのかとゾクゾクする。
しかし失速。その音は明らかに現代から持ち込まれたもの。新しさがなければならないが、現在に生きる者には感じられない。なぜその時代の音だけで構成しないのか違和感。演奏映像と音がシンクロしない。ライブ感がない。魂が呼び起こされるには及ばないグルーブのなさ。映像の群衆と同じようになれれば成功。しかし全くその気にはなれない。歌詞が聞き取れずにメッセージも伝わらない。映画館に浮き上がる室町の群衆。長くて退屈。それが何度と繰り返される。
同じアニメ映画の「音楽」はベースとドラムで心が揺さぶられ、たて笛一本で持っていかれた。読経と木魚だけで酔えるもの。その力がここに感じ得なかった。
なぜ片方はこだわり、片方は折れたのか。光を取り戻せぬ者と醜さから解放された者の違いか。考えは及ばぬが、あまりふたりに心を寄せるに至らなかったのも正直なところ。
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