「ペンは剣より強し」王の預言書 しずるさんの映画レビュー(感想・評価)
ペンは剣より強し
韓国版時代劇、ペンは剣より強し、の物語。
韓国映画やドラマを普段あまり見ないので、聞き慣れない名前の羅列と役者の判別に苦心したが、話の筋はそれほど複雑ではない。
李氏朝鮮時代、官吏が私腹を肥やし、民は貧困に喘いでいた。民衆の間では、王朝が倒れ真王が現れるという預言書が流行する。
戦禍で天涯孤独となった官能小説家フンプは、生き別れた兄の行方を知るというヒョクに出合う。ヒョクは孤児を引き取り、民に慕われる人徳の人、しかしその兄は、朝廷の覇権を狙う二勢力の片割れ、野心と欲にまみれた高官だった。
フンプが書いた預言書の外伝と、ヒョクと兄をモデルにした権力風刺の物語は、民衆に大流行、やがて王と朝廷をも巻き込む一大事へと発展していく。
義侠心に溢れた英傑、私欲の官史、臣下の言いなりな王。中国歴史物が好きなら定番のキャラクターと設定で、慣れた人なら物語には入り易いだろう。
陰謀もので、派手な戦闘シーンなどはないが、兄弟の情、師弟の情、国を憂い民を思う情などが盛り込まれ、時代劇の醍醐味は十二分に味わえる。
日本で言うと、藤沢修平とかの歴史小説みたいな感じ。
クライマックスの展開はもう少し練り込んで欲しかった。芝居の内容とか、いくらなんでも宮城の警備がザル過ぎないか…とか。
クレジット途中でのオチみたいなのも、私にはよく解らなかった。
少し情けなくていい加減なフンプが、クライマックスにキリリと権力に立ち向かう様、ヒョクの懐深く優しい様子、頼りなげに迷う若き王、悪徳官吏の悪げな雰囲気など、役者も上手く嵌まっている。
中国歴史物も時代劇も好きなので、個人的には楽しく見れて大満足。朝鮮の歴史物は今まで素通りだったので、機会があれば他のも読んだり見たりしてみたい。