「純真無垢な綺麗な映画」フラグタイム KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
純真無垢な綺麗な映画
60分に満たない映画のわりには綺麗に纏まった作品だと思った。
予告ではLGBTを題材にした映画なのかなと思ったが、そうではなく、素直な、ありのままの気持ちを大切にしようといった前向きで綺麗な映画だと感じた。
主人公の森谷美鈴は自分の気持ちをさらけ出さずに閉じ込め、人とか関わらない事で自分を守って生きている。
ヒロインの村上遥は同じく自分の気持ちをさらけ出すことはしないが、美鈴とは真逆に人と積極的に関わり相手の喜ぶことや望む事を考え行動し、同調することで自分の立場を作り自分を守って生きていく。
両者とも自分の気持ちに素直にならず、閉じ込めることで自分を守るといったのは現代らしい生き方でとても見やすい。
その自分をさらけ出す、3分間、時間を止められるという力を与えられたことにより、自分の気持ちに素直になるということの素晴らしさを美鈴と遥は感じることができ、最後は芽生えるわけだ。
そのため美鈴がLGBTだったり、最後は遥と同性愛として結ばれて共に幸せを育むかはわからない。
現時点で彼女らはようやく自分の気持ちに素直になって行動し始めたわけだから、これから先のことは分からず、作品内でもしっかり描かれてはいない。
素直な気持ちに生きるとになった彼女らにはこれから無限の可能さ成長が待っているだろう。そういうこともあってその先は描かれてないと勝手ながら解釈させてもらった。
いろんな考え、価値観の中世の中は動いている。
時に自分の正義が環境や社会としては悪として排除されたり、逆に悪が正義として回っていたりなにが正しく、なにが悪いのか分からない世の中を感じることもある。
もちろん時には自分の気持ちを押し殺し、周りに同調する事は大切な時もあるが、それが主としては時間の無駄である。
自分の気持ちを行動にする事が全て正しいとは限らない。ただ自分の気持ちに素直に行動した先の過ちは反省に繋がる。
美鈴も遥もお互い素直な気持ちをぶつけ合い衝突した先には真の友情が芽生えた。
素直な気持ち、自分に嘘をつかないことの大切さを改めて感じさせてくれる作品だった。