劇場公開日 2021年6月4日

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「つらくて切なく彷徨う心を描きます。」猿楽町で会いましょう バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5つらくて切なく彷徨う心を描きます。

2021年7月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

昨年から観たくて観たくて仕方
なかった作品。金子さんに石川さん。
有望若手俳優が期待をさらに高めて
くれます。

自身の都合を優先する女性が
素直な男性を振り回す物語にように
見えますが、、、たまたま出会った男女の
行き着いた先が「恋」のような場所で、
その場所を求めた経路が異なるが故に
展開するストーリー・・・
うん、これもラブストーリーだよなぁ。
予告編で映し出されてたコピーを
頭に思い浮かべてました。

求めた経路の違い。
それこそが本作のテーマの一つであろうと
思ってる「自分らしさの見つけ方」の
違いなのではないかなぁ?って思います。
「自分を、やりたいことを自ら見つける」子、
「評価され、求められることで自分を見出す」子。
そんな二人の出会ってから、自分の気持ちに
正直に素直に生き続ける姿を丁寧に、
語り過ぎずに映し出していきます。

本作では行動の経緯は描いてくれますが、
その行動をした理由を明確に描いてくれません。
きっと、そこは主人公二人の気持ちを、考え方を
読み取り、観たものが自由に考えれば良いという
ことなんじゃぁないかな?って思います。
だから、この子はどういうこなんだろう?って
考えさせてくれるシーンがたくさんあります。
さらに、感情の起伏もよく描いてくれます。
行動の経緯を細かい描写で見せてくれます。
多くの小山田像、ユカ像があるような気がします。
まさに「自分らしさの見つけ方」の種類くらいに
あるのだと思います。

「自分らしさ」を見つけている最中の方々には
心当たりあるような描写が多いのではないかなぁ?
って思います。また、猿楽町(渋谷)って舞台であれば
なおさら、多くの小山田とユカが居そうな感じです。
この二人のように、まだ見ぬ、見えぬ自分や将来の
不安を抱きつつも共にもがいている若者がたくさん
いるんじゃぁないかなぁ?なぁんて思います。

児山監督、初長編なんですよね。
すごいなぁ。って感心しきりです。脚本含め。
役者さんたちの演技・・・特に表情・・・
よくぞ引き出したなぁと。
石川さんの表情で胸が締め付けられ、
金子さんの叫びにつらくなりと、
気持ちがブンブン振り回されます。
そして街の表情が秀逸です。時に冷たく
時に煌びやか、時にハッピーな未来を
期待できるような・・・。いやーすごいです。

次回作も大いに期待したいです。秀作です。

あ、余談ですが、
「あなたはどんな人ですか?」の面接時質問された
時のユカ(石川さん)の表情が2021年現時点で
僕の中で最高の表情(の演技)です。

バリカタ