「世界にボサノバという余韻を残した男」ジョアン・ジルベルトを探して Bluebeatbluesさんの映画レビュー(感想・評価)
世界にボサノバという余韻を残した男
オープニングからジョビンの「デサフィナード」で惹きつけられる。今年七月、残念ながらこの星を発ってしまったジョアン・ジルベルト。彼の音楽の虜になった世界中の人々に観てほしいドキュメンタリー。ドイツ人作家マーク・フィッシャーのジョアンを探す旅がベースになっていて(残念ながらマークはジョアンには会えず本が出版される直前に自死された)それを引き継いだ形で監督がメガホンをとっている。たった一人でトイレに篭り世界を変えた男。ボサノバの神と言われた男。この映画を観ると、一緒にジョアンを探しているような、いないはずのジョアンが自分の傍らにいるような、そんな錯覚を覚えました。彼は本当に神だったのか... そんな問いすら馬鹿げてしまえる旅。ドキュメンタリーでありながらロードムービー。ボサノバの心地よさはもちろん、陽射しや風、波の音、ホテルの小部屋、街角の音、すべてのリオの空気がジョアンという男とボサノバという音楽を創り出したのだ。少なくともその気配を感じる映画だった。
コメントする