劇場公開日 2020年12月11日

「悪ノリ三國志」新解釈・三國志 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0悪ノリ三國志

2020年12月12日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

もう予告を見た時からずっと楽しみにしていた本作。もちろん公開初日に鑑賞してきました。いつもなら新作公開日でも10人未満の観客しかいない地元の映画館が、なんと鬼滅に迫るほどの大賑わい!出演者の人気なのか、福田監督への期待なのか、三國志のもつ魅力なのか、とにかく大勢の観客と一緒に見ることができたのはよかったです。やはりこの手の作品は、みんなで見て、一緒に笑うことで楽しさが増すというものです。

ストーリーは、劉備、関羽、張飛が義兄弟の契りを結ぶところから始まり、赤壁の戦いまでを描く、三國志の鉄板展開。その中に、桃園の誓い、黄巾、虎牢関、貂蟬、三顧の礼、長坂の戦い、十万本の矢、東南の風、連環の計などの名エピソードをコンパクトに散りばめ、見応えのあるアクションシーンも織り交ぜながら、コミカルに描いていたのはよかったです。三國志を知らない人には、訳のわからない展開だったかもしれませんが、壮大なストーリーを2時間程度に収めるのはどだい無理な話なので、まあこんなものでしょう。

キャストは、大泉洋さんを主演に迎え、他の主要な役は福田組のいつもの面々で押さえ、抜群の安定感を発揮しています。序盤こそ、見ているこちらが恥ずかしくなるような寒い小芝居が多く、この先の展開が心配になりましたが、渡辺直美さんが登場したあたりから場の空気が温まってきた感じでした。そこへ、佐藤二朗さん、ムロツヨシさん、賀来賢人くんと、福田組の看板スターが次々に加わり、ギアが上がっていく感じがよかったです。もはや橋本環奈さんも欠かせない存在となり、いい味を出していました。他に、小栗旬さん、岩田剛典くん、城田優さん、矢本悠馬くんらも、役を楽しむかのような演技で脇を固めていました。ただ、関羽と張飛だけは、雰囲気優先のキャスティングなのか、最後まで浮いてる印象で残念でした。

というわけで、ここまでなるべくよいところを挙げてみましたが、劇場作品として見れば、やはり物足りなさは否めません。大陸ドラマのような壮大なものは無理でも、もう少しスケールの大きさを感じさせてほしかったし、もっともっと笑わせてほしかったところです。また、新解釈と銘打つには、いささか内容不足で、印象としては「悪ノリ・三國志」といった感じでした。

福田監督のグダグダな笑いが嫌いでなければ、そこそこ楽しめるとは思いますが、はっきり言ってテレビ放映を待てばいいレベルの作品です。それでもあえて劇場へ足を運ぶのであれば、過度な期待は捨て、全てを受け入れる広い心での鑑賞をお勧めします。

おじゃる