「役者さんの演技はよかったけど、ちょっと言葉足らず」朝が来る kanoさんの映画レビュー(感想・評価)
役者さんの演技はよかったけど、ちょっと言葉足らず
映画館でポスターを見て永作博美主演なら観てみたいなぁと思いつつも、コロナ禍で劇場観賞が敵わなかったため、原作小説を読んでから映画は配信レンタルしました。
台詞であまり説明せず映像と役者さんたちの演技で表現しているため、少し言葉足らずかもしれないと思いましたが、
辛い不妊治療を経て特別養子縁組に至るまでの夫婦の心境などすごく伝わってきて、涙が溢れました。
蒔田彩珠さんも、朝斗くん役の子役さんもとてもよかった。
初めて赤ちゃんの朝斗くんを腕に抱いたとき、辛い日々のトンネルの先にやっと光が見えた夫婦が「朝が来た」と思えたように
ラストシーンのあとのひかりちゃんにも「朝が来る」希望みたいなものをエンドロールの最後の演出に感じられたのはよかった。
言葉足らずな印象だったのは、
家出したひかりちゃんがベビーバトンを頼るところ。
原作では浅見さんは実家に連絡した上でしばらく預かり、最後は実家に帰らないというひかりちゃんのために新聞配達の職をなんとか探してきて送り出していたのに、映画ではそのあたりに触れられていないため、ちょっと無責任に感じました。
(頼る人も働き口もなく風俗で働いて望まぬ妊娠をする女の子たちを散々見てきているはずなので)
もう1つは、裏切られて保証人にされて借金取りに追われるところ。
サインもした覚えがない偽造なのに取り合ってもらえない、周りに助けてくれるような人もいない、逃げて遠いところで働いていても借金取りにに追いかけてこられて、困りあぐねて職場のお金に手をつけてしまう。
そうやって追い詰められて、追い詰められて、里親にお金を無心しようとしたのに、
そのあたりの表現が映画ではさらっとしすぎていて、ひかりちゃんが追い詰められていたのがわかりづらい。
(警察が栗原夫妻を訪ねてきたのも、会社のお金に手をつけたのがバレて「この知り合いのところにお金を借りに行きます」って言って消えたからであって、ただ職場からバックレただけでは捜査してくれないでしょ…)