「母性を問う社会派人間ドラマ」朝が来る くぼたんさんの映画レビュー(感想・評価)
母性を問う社会派人間ドラマ
母になれない1組の栗原夫婦が発端となって、特別養子縁組の話を絡めた社会派ドラマです。久振りの浅田美代子のベビーバトン代表に、母性に悩み疲れた1人の女性を感じました。それにしても浅田さん老けたな。役作りのせいもあるけど…女性に見てほしいなあと思います。不妊治療、特別養子縁組、未成年の妊娠問題、特に未成年の妊娠は女性側に重い負担を強いることがわかります。妊娠を隠すことができても、十代で妊娠、出産を経験した少女は、心に深いトラウマをかかえいえることはありません。子どもさんをおもちのお母さんにも、見てほしい。中学生で妊娠した少女を体当たりで演じた女優に、過酷な運命選択を選ぶ芯の強さともろさ、悲しさを感じた。親子の絆とは何なのか?血脈を超えた絆、で結ばれた栗原夫佐都子と片岡ひかり。光と影、現在と過去が点滅するようにスクリーンに表れる。とりわけたくみくんとひかりの恋愛と呼ぶには幼い恋のラブストーリーがさざわめく森の木々の音とと光により美しく表現される。またベビーバトンで養子縁組を選択して子供を産み養子に出す少女たちが、渡る広島の1孤島が、まるで母の胎内で聞く子宮の音のように、波の満ち引きの中でぽっかり、海の中に浮かんでいる。こころの帰る場所のない少女たちのうめきを感じてしまった。130分映像の美しさ、子供と親の関係性、育ての親と生みの親との間にたつ子供たち…いくつもの問題提起の中で物がたりのエンドを迎えた。最後まで席を立つことが出来ない。秀作であった。原作が読みたいと思いました。
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