「【若き二人の女性の深い友情を”ある出来事”を通して描き出した作品。”命の継承”というテーマも仄かに描いている作品でもある。】」Daughters(ドーターズ) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【若き二人の女性の深い友情を”ある出来事”を通して描き出した作品。”命の継承”というテーマも仄かに描いている作品でもある。】
■印象的なシーン
1.三吉彩花さん演じる小春と阿部純子さん演じる綾乃の自由奔放に若さを満喫しながらも、仕事はキッチリこなしていく姿。二人はルームシェアをしている・・。
ー小春のモノローグ”私たちは価値観が似ている。”この関係性が綾乃の予期せぬ妊娠により、少しづつ変化していく過程を10カ月を通して描いていく。-
2.大塚寧々さん演じる女性産婦人科医が、明るいトーンで言う言葉。”最近はシングルマザーが増えているの・・。私は子供を産んだことがないから,新しい命を生み出す事って素晴らしいと思う”
ーシングルマザーを肯定的に見る視点。-
3.綾乃が久しぶりに帰った実家でも父(鶴見慎吾)は心配するが、祖母(大谷斐沙子)は”曾孫が出来るなんて・・”と嬉しさを隠せない。
綾乃が祖母と一緒に墓参りをするシーンも良い。
ーここでも、シングルマザーとして生きて行こうとする綾乃を肯定的に捉える家族の姿が描かれる。祖母の”命の継承”と言う言葉が心に響く。-
4.綾乃のお腹が大きくなるにつれ、小春との間に不協和音が生じる。そして、小春は当初二人で行く予定だった沖縄に一人旅に出る。
―この沖縄のシーンが、この作品にアクセントを与えており、良い。
黒谷智香さん演じる沖縄で旅館、食堂を営む女性が”若い頃は東京にいたけれど、イロイロあって沖縄にきたの・・”と言ってシングルマザーであることをさらりと話すシーン。
”沖縄って、他人でも放っておけない人が多いのよ・・” 静かに彼女の言葉を聞く小春の何かを悟ったような表情・・。ー
5.東京に戻った小春と綾乃が二人でベビーベッドを組み立てるシーン。
ー仲直りというか、新たな”三人の生活”の始まりである。-
<若き二人の女性の深い友情を”ある出来事”を通して描き出した作品。”命の継承”というテーマも仄かに描いている作品でもある。
あの女の子は美しく、気丈な二人の母親に育てられるのだから、きっと素敵な女性に育つのではないかなあ・・。
”Daughters”という題名はダブルミーニングである事が分かるのである。>
■蛇足
・沖縄の食堂で黒谷さんが作ってくれる”クーパー:クースーのパイナップル果汁割、美味そう・・” をあの食堂のカウンターで酔いつぶれるまで飲みたい・・。