「荒療治」性の劇薬 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
荒療治
驚くほどしっかりとした脚本だった。
BGMはヘンテコリンだけど。
BLものは初体験で、友達に勧められたので観てみたのだが…やはり嫌悪感が先立つ。
いや、嫌悪感が先立って安心もするのだけれど、作品に対して無礼ではないのかとも考える。
「キャロル」を思い出しながら観ていたのだけど…根本的に比較できるような代物ではなかった。
取り巻く環境が違い過ぎて…その影響を受けざるを得ない関係性は禁忌を犯すようでもある。
俺は男性なので不条理にしか思えない。
女性を美しいと思うので、その女性に惹かれる気持ちも分からなくはない。だけど男性を美しいと思う事がないので…それに惹かれてしまう理由に共感が湧かないのだ。
ただ、医師の心理は分からなくはない。
非常に攻撃的ではあるが納得できる部分もある。
でも、相方の心理は分からない。
まぁ…そおいう状態になった事がないから想像もつかないだけなのだけど。
そもそも男性同士ってのは、お互いが理不尽な感情に縛られているようでもあり、それが社会的に享受されないって事も承知しているようでもある。
この脚本的にも彼等を理解しようとする人はただの1人も現れない。
たまたまそおいう原作だったのかもしれんが、どおにも救いがなく。お互いだけが唯一の救済のようでもあった。…それがBLの醍醐味なのだろうか?
序盤の強烈な性描写は女性には起こらないような類いのようなものだと思う。
あの辺りはグロいけど、男性と女性の違いがよく出てたんじゃないだろうか?いや…どちらも実体験が伴わないので想像や先入観ではあるのだが。
まぁ…ビジュアルがもたらす印象操作ってのは多分にあるのだろうし、原作ファンがコレを観てどお思うか興味はある。良くも悪くも生々しいと思うのだ。
芝居自体に難がありもするが、キャストは熱演だったと思われる。
アングルや編集がツボを押さえたようなものかどおかは分からないのだけれど、終始俺の眉間にはシワが寄ってた。
「性の劇薬」ってのがとにかく秀逸なタイトル。
性=生でもあり、その方程式がちゃんと成り立ってる内容にも思える。
ラストにはやはり必須なのであろう性描写があるのだけど、俺には全く需要がなく見るに耐えなかった。需要が高い方面からしてみると感動すら覚えるのだろうなぁとは思う。
それ程に脚本や構成は素晴らしかった。
と、思う。