「タイトルなし(ネタバレ)」ダゲール街の人々 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
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ダゲール街はパリ・モンパルナスの一角。
香水店、肉屋、パン屋などが立ち並ぶ。
そこで商いを営む人々。
買い物に来る人々。
余興は、他所からやって来てマジシャンのマジックを愉しむこと・・・
そんなスケッチに似たドキュメンタリー映画。
仏題「DAGUERREOTYPES」は「ダゲール街の典型的な人々」の意と写真の原点ダゲレオタイプの二重意。
というか、街の名は、写真を発明したダゲール氏に由来する。
個人的な話をすると、大阪城にほど近い下町育ち、それも店屋の息子であったわたしには、この映画に登場し、ダゲール街で暮らす人々に対して、すべて懐かしい思いを抱きました。
被写体の良さだけでなく、映画としての魅力は終盤あらわれる。
住民みなが楽しみにする小さなマジックショウ。
マジックショウと人々の日々の暮らしのクロスカッティング。
編集によって、日常をマジックのように魅せる。
すばらしい。
実際のリアルではない、映画としてのリアリズム。
エンディングは人々の肖像映像。
映画なのに動かない。
動かないことによって、ダゲレオタイプ写真に似たものとなり、人々は映画の中に記録される。
記録された「50年前の人々とまち」を、いま観る眼福。
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