「バリ・ダゲール街の半径を活写した逸品」ダゲール街の人々 ミラーズさんの映画レビュー(感想・評価)
バリ・ダゲール街の半径を活写した逸品
パリのモンパルナスにあるダゲール通りの記録。初見で遅刻して冒頭の1分ぐらいを見逃したので後日に再見しました。
アニエス・ヴァルダが、子育てをしながら、自分の住んでいる半径の商店街の人々に興味を持ち、店先にカメラを持ち込んで活写されている。
登場する商店も色々でパン屋、肉屋、化粧品店、床屋兼美容院、食品雑貨や自動車教習所?まで多種多様なところや、生粋のパリっ子と思った商店街の人々が1900年以降に、パリに移住して来たと証言されるところなども意外。
初見で、マジシャンと商店街の人々のショーを観る下りのカットバックが、陳腐な印象を受けたが、再見するとすんなりと腑に落ちるのは不思議。
老夫婦の香水店で、奥さんの不許和音な行動やパン屋の夫婦の微妙なズレなどのヴァルダ作品の怪作「幸福」にも通底する怖い不可解さを感じる。
とにかく40年前の76年のフランスの街角の商店の記録を程よい雰囲気と距離感で見せてくれる逸品の映画。
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