「フランクオズ版にはかなわない」ザ・ハッスル 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
フランクオズ版にはかなわない
1988年の映画にペテン師とサギ師/だまされてリビエラというのがありました。
私はその映画が大好きでした。原題はDirty Rotten Scoundrels、監督がフランクオズ。
詐欺師弟をマイケルケインとスティーヴマーティンがやってて、彼らを逆スカムするのは2017年に急死してしまった女優Glenne Headlyでした。
この映画は、その性変換バージョンです。それも、筋書きからシークエンスの構造にいたるまで、そっくりに作った変換バージョンでした。
私は前述した映画のスティーヴマーティンの演技に、映画館の中にもかかわらず、大爆笑してしまったことを、よく覚えています。あとにもさきにも、映画館内であれほど笑ったことはありません。
だから私はこの映画をVHSでもDVDでも持っていました。
おそらく、私と同じ体験を持っている人がいると思います。
何の予備知識もなくTheHustleのトレーラーを見たとき、列車内のシーンだけで「あ!リビエラの女バージョンだ!」と解りました。30年前の映画を閃光のように思い出すことは、そうそう無いことですし、大好きだった映画だったこともあって、完全に見たくなってしまったのでした。
ただ、実際見てみると、リメイクというよりはリテイクであって、コンテも同じなのかと思えるほどに、等しい場面構成があり、フランクオズ監督はどう思うんだろう、と心配になってしまうほどに、まんまでした。
新要素はありませんがRebel WilsonがPitch PerfectやIsn't It Romanticで見せたようなシットコムがそれなりに笑わせてくれました。
批評的にもコケていますし、褒められた出来ではありませんが、大好きだったリビエラの再映画化であることが、個人的には、けっこう面白い映画体験となりました。
逆に言うと、あのDirty Rotten Scoundrelsが、やっぱカルトだったということを、あらためて気付かされた映画でした。
ちなみに私はオリジナルのラストでオーストラリアの富豪チップス・オトゥールと紹介されたマイケルケインが突如完璧な現地訛りを使って話すシーンがすごく好きなのです。