「三池にしか撮れない、代替の効かない一本。」初恋 今日は休館日。さんの映画レビュー(感想・評価)
三池にしか撮れない、代替の効かない一本。
三池監督といえばバイオレンスやアクション、という定型句のようなものがある。けれどこの監督は、美しさやロマンチックな表現も持ち合わせているのが凄味。そんな一面が存分に発揮された作品だと思う。
ひたすら楽しいド派手な展開の奥底に感じるのは『トゥルー・ロマンス』や『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の刹那さ。そして同監督作品である『中国の鳥人』の美しさだった。
もちろん『極道大戦争』(誰も真似できない稀有な大傑作!)のようなカオスっぷりも存分に堪能できるのだが、根幹を支えるのはどれだけ自由でカオスに遊んだとしても、決して作品が滅茶苦茶にならない圧倒的な技量!
ストーリー、テンポ、映像などの土台が全く崩れないから、どれだけ傍若無人な展開でも、観てる側を置いていくことがない。俳優陣の演技がさらにそれを下支えするのだから、引っ掛かりなくどんどん引き込まれる。作品の重要なアクセントになっているベッキーも見事。昔から変わらない生々しさ溢れるアクションも超楽しい。
圧倒的な技量の上で展開されるカオスな自由。三池崇史が他の監督達と絶対に違う理由、映画史に残る監督の一人である理由。
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