「良い意味で「騙された」作品」初恋 スキピオさんの映画レビュー(感想・評価)
良い意味で「騙された」作品
ストーリーは、HPにある通り。余命いくばくもないボクサーと、ヤクザに囲われている少女が偶然、夜の新宿で出会う。この二人がヤクザと悪徳刑事とチャイナマフィアの陰謀と争いに巻き込まれていく。王道のボーイミーツガールで、ヤクザなドラマ。
これが、途中からものの見事に騙されていることに気づきます。なので、途中で「え?こういう話なの?」と思った、それが正解!
前半部分の夜の新宿はよく描けています。チャイニーズマフィアの中華料理屋とか、悪徳刑事が殴り飛ばされ目が覚めるシーンで、大きなネズミが後ろ通るとこ、などリアリティがちゃんと出ています。
役者は「ファンシー」で共演していた窪田正孝と小西桜子が主人公の二人。窪田正孝はファンシーでは「ペンギン」という優男でしたが、こちらは無口なボクサー。まあ、ペンギンもボクサーもチェリーボーイな役どころという意味では同じ。
小西桜子は、初主演の作品で、そういう素人っぽさが、役にハマっていました。まあ、演技はさておき、可愛いです。それに、手足が長いのか、目鼻口が大きいのか、存在感は抜群です。さすが、事務所にも入らずに主演映画をオーディションで勝ち取るだけの子ですね。
ベッキーは、、、役の演出が良く、それをちゃんと演じた、という意味では「怪演」と評されるのでしょう、一見の価値はあります。まあただ、顔がヤクザっぽくないんです。
私は染谷将太の加瀬が一番良かったです。この役が狂言回しになる訳で、この役がコケると台無しなのですが、ちゃんと導いてくれた、って感じ。その上で、最後の「全部バレた」ってとこからも、最高です。
先年の「虎狼の血」とは違ったテイストですが、往年の「東映ヤクザ映画」が面白くなってくれて、嬉しい限りです。