「別の面が見れる映画」復讐の十字架 Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
別の面が見れる映画
一心不乱にハンマーで教会を壊している男、マルキー。約25年前の12歳の時、神父から、口にも出したくない性的虐待を受けた経験があり、そのことが、トラウマとなり、いつも心のどこかでそのことを思い出されてしまうし、常につきまとう。そして何よりもつらく見えるところは、恋人のエマのことですら「お前のことは信用していない。」と心でつぶやくようなことをするものだから、敏感な彼女は、そのことが何かしらわかってしまう。加えて、母親に対しても、普段は非常に母親思いの彼なのだが、よそよそしい雰囲気も持ち合わせている。何よりもおぞましいことは、背後霊のように付きまとうかのように、あの神父の姿を少しでも見てしまうと、YouTubeのトレイラーでも出てきたように感情失禁をしてしまい、しかも訳が分からなくなり、無二の親友に対しても暴力を加えてしまっている。そのあと、自責の念からか、また、ただ後悔してからか、自分の右手を痛めつけてしまって入院までしてしまう。退院した後、家に帰ると思いがけないことが起こっていた......?
ROMANS chapter 12 verse 20(Romans 12:20)
If then your enemy haves hunger, give him to eat ..........
For by doing that you will fiery coals on his head.
宗教を通じて、ある男の心の闇を描いていて、その心の闇がいかに大きく彼を苦しめ、日常から彼を愛する者にさえもつらくあたってしまいうのだけれども、その後でいつものように悪いことをしたと後悔をくりかえしてしまっている。そんな彼が、あることがきっかけで、それを精神的にも肉体的にも乗り越えることができるかが、この映画の一番の見どころであり、テーマになっている。その中にはオーランド・ブルームの性的に自虐的シーンもある一風変わった、ある意味、彼の映画人生を変えるかもしれない映画かもしれないものとなっている。少し言い過ぎかもしれないが、興行的に成功するとは決して言えないと個人的には思うのだが....? ただ映画自体が、この題材に加え、イングランドのよどんだような暗い景色はあまり個人的に受け付けないでいる。
I abuse myself.
I hurt myself...............physical.
I hurt myself sexually.
I raped myself until I bleed.
スピルバーグやトム・クルーズなどと同じ、失語症を持っているブルームは宗教をカトリックから日本の新興宗教に改宗していて、その彼が、神父の性的虐待を扱ったカトリック教会を中傷するような映画に出演するのは、何かが引っかかってしまう。とにもかくにも、この映画は、暗すぎる。そのため見るのに"二の足、三の足”を踏んでしまい、どうしても見る気の起きない映画かもしれないが、随所にオーランド・ブルームの鍛え上げられた肉体美が見れるので彼のファンなら必見と言っていいかもしれない。
話は変わるが、今、イギリスのコモンウエルスの一員のオーストラリアのメルビンでは、裁判が行われていて、ローマカトリック教会の第3番目の高い地位の枢機卿が少年に対しての性的虐待をしたとして訴えられている。この方も映画と同じ13歳という少年2人に性的暴行を加えているとされている。