劇場公開日 2020年9月18日

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「「恋」を知った彼、彼女らが成長していく物語。」思い、思われ、ふり、ふられ(アニメ版) そらのばさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「恋」を知った彼、彼女らが成長していく物語。

2020年10月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

N角関係の恋愛物が好きということもあり、劇場のCMなどで気になっていたのをようやく鑑賞。
蓋を開けてみればN角関係ではあるものの、清々しいくらいに清らかな恋愛物でした。
ーーいや、N角関係物としては異質だったのかもしれません。

「恋」と「恋」
「恋」と「家族」
「恋」と「夢」

この作品では各々が別の何かと恋を天秤にかけて葛藤しますが、二人を取捨選択することがメインではなく、弱さを克服するーー彼、彼女らの精神的成長の物語です。
そして、それを支えたのは間違いなく「由奈」というキャラクターの存在でした。

少女漫画のような恋に憧れ、奥手だけど只々直向きで。
「だから、私をフッて」
PVにもあるこの台詞、そしてその表情が彼女の有り様を表しています。

少し間違えれば天然自己中になりかねない性質をはらみながら、ただただ純粋な存在へと昇華させたのは、実在を介さないアニメ作品だからこそであるとともに、声優「鈴木毬花」の絶妙なバランスを保った好演技によるところが大きいものでした。

そして、もう一点触れておきたいのがキャラデザです。
前半は戯曲さながら淡々と物語が進行されますが、後半はとても丁寧に彼・彼女らの心情が描かれます。
その感情を、キャラの表情でみせるシーンが多々ありますが、ただ「恋をした」を超えた繊細さがそこにはありました。
その繊細さに耐えうるキャラデザであり、一見の価値ありです。

作品として尖ったところはあまりありませんが、逆に恋愛物が好きであれば万人におすすめできるような作品です。
ーーちょっと純真すぎて若いなぁと感じてはしまいますが。
そろそろ公開が終わり始まりそうではあるので、お時間があれば早めに是非。

そらのば