劇場公開日 2019年6月29日

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「情緒に訴えるのみで、理解の助けとなる情報に乏しい映画」シード 生命の糧 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5情緒に訴えるのみで、理解の助けとなる情報に乏しい映画

2019年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

最近、「フード・インク」という映画を見たので、「種子洗浄」についてや、農家を訴えたモンサント社の訴訟の詳細など、いろいろ知りたくなった。
また、種子の多様性に関するサイエンスにも興味がわいたので、かなり期待して観た。

しかし、残念ながら本作は、“天然の種子は美しい”といった絵像美や(見栄えのする巨大な種子ばかり映していた)、有機栽培農家や食の安全に関するアクティビストのインタビューばかりで構成されている。
「種子」に特化したドキュメンタリーであるにもかかわらず、訴訟やサイエンスに関する説明は、ほぼ皆無なので、自分は今一つ内容に付いていくことができなかった。

むろん何より、前提となる知識を知らない自分が悪いのであろう。
しかし、一般向けの映画であるならば、やはり理解の助けとなる法律や科学的な背景の説明をきちんと行うべきではないだろうか?

映画「フード・インク」の方が、種子問題や食品の大企業による寡占支配に関しても、多角的で情報量の多いアプローチをしている。
それに対して本作は、遺伝子組み換え作物を攻撃するのみで、ひたすら観る者の情緒に訴えかけようとしているように思われる。
内容的には「フード・インク」よりも薄い。

起承転結のない同じような話が延々と続いて、なんだかアクティビストの“勧誘ビデオ”を見せられている気分になってしまった。

Imperator