「寡黙で多弁な自国愛溢れる映画」天国にちがいない bluewさんの映画レビュー(感想・評価)
寡黙で多弁な自国愛溢れる映画
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主人公を画面中央にした
シンメトリーで、シュールな景色が
展開されていく。
シーンは短く、一幕一幕カーテンが
降りて様変わりするように流れていく。
今のは何だったの??
え、それで?
と思うようなエピソードが続く。
主人公は監督自身で、まんまドキュメンタリー
のような映画だ。
平和とは言い切れない故郷の、そして
複雑な自身の民族的アイデンテティが
ベースになっている。
理想の天国を訪問地に求めてみたものの
平和で憧れの街に見えるそこには
不条理であったり、やるせない真実、欺瞞が
いっぱいだ。
それらをコケテッィシュに、
そして皮肉たっぷりに描き、私たちに問いかけている。
だから、セリフは全部で原稿用紙に1枚もないくらい少ない
はずなのに、語られる言葉はものすごく多い。
最後のタロット占いの結果や、帰国した故郷の
女性が運んでいた重たい水が空になっている
ところを見逃してはいけない。
監督自身が自国の将来に
希望を持ち続けている証拠なのだから。
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