「18世紀ヨーロッパ。孤島のガールズラブ。」燃ゆる女の肖像 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
18世紀ヨーロッパ。孤島のガールズラブ。
そこには自立した強く美しい肖像画家の女性と、孤島に幽閉される貴族の娘の、ひと夏の
ハーレクイン・ロマンスがあります。
真の芸術とは、こんな甘っちょろい映画を指さないと思うのが自論です。
2020年(フランス)監督・脚本:セリーヌ・シアマ
カンヌ国際映画祭で脚本賞とクィアパルム賞をW受賞。
(クィアパルム賞とはLGBTやクィアをテーマとした映画に贈られる賞)
18世紀のフランスのブルターニュにある小島。
貴族の娘エロイーズを嫁に出そうと、母親はミラノの見合い相手に肖像画を
渡す必要があった。
選ばれた女性画家のマリアンヌは、小さな手漕ぎの船に乗り孤島を訪れる。
望まぬ結婚を控えるエロイーズはナーバスで、以前男の肖像画家に、一度も顔を見せなかった過去がある。
素性を隠したマリアンヌは、エロイーズを観察して肖像画を完成させるが・・・
エロイーズに「この絵は嫌い、私ではない」と拒絶されてしまう。
激怒したマリアンヌは肖像の顔を黒く汚してしまう。
《肖像画の描き直し》
エロイーズの母親は自分の5日間の留守の間に、肖像画の描き直しを命じるのだった。
ここからはエロイーズとマリアンヌが急接近します。
音楽や文学に飢えているエロイーズに、マリアンヌは頼もしい自立した教師。
マリアンヌがチェンバロで奏でるヴィヴァルデイ協奏曲第2番ト短調「夏」
この一瞬のメロディが美しい!!
マリアンヌはエロイーズにとっては、パリの都から来た美術・音楽・文学の師!!
この時代の女の芸術への渇望が痛いようです。
母親の不在の開放感に、心も身体もひとつになるエロイーズとマリアンヌ。
この描写が百合(ガールズラブ)なんですねー。
「一夏のアバンチュール」
女性映画の王道です。
ブルターニュの孤島の貴族?
貧乏貴族?
よそ行きのドレスは緑が、たった一枚。
父親不在・・・(ここも、いかにもの、女性映画)
ほぼ4人の出演者の映画です。
ラストの方で、島民たちの焚き火のシーンがあるのと、
ラストのラストでミラノのオペラ座が写るシーン以外は、
エロイーズの母親、お手伝いのソフィ、そしてマリアンヌとエロイーズの4人の登場人物。
舞台劇みたいです。
撮影もブルターニュの孤島を使い、絵画のようなショットが散見されます。
肖像画も美しいのですが、マリアンヌの絵をレンブラントやフェルメールの肖像画と較べるのは酷というもの。
マリアンヌがチェンバロで奏でたヴィヴァルディの「夏」がフルオーケストラで盛り上げる
ラストは、ちょっとほだされます。
主役のマリアンヌのノエミ・メルランとエロイーズのアデル・エネルが、毅然としてとても美しい。
(アデル・エネルはセリーヌ監督の元パートナーだったとか)
美しい映画です。
しかし、大の大人が観るような本物の芸術作品とは到底思えません。
多感な若い女性には、結構愛される映画なのかもしれませんね。
是非
「ピアノレッスン」や
「ブロークバック・マウンテン」の火傷するようなラブストーリーを
ご覧ください。
二度ぐらい観ました。未レビュー。
🐤本物の芸術作品とは到底思えない🐤
厳しいお言葉、なるほど。
やはりお詳しいですね🍀
『ブロークバック•マウンテン』
何度か観て涙しました。
世が世なら楽しかっただろう二人。😢
では、おやすみなさい💤😴