「わき毛で空を飛ぶ」燃ゆる女の肖像 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
わき毛で空を飛ぶ
女流画家のマリアンヌが貴族の娘エロイーズの肖像画を描くために小島の屋敷に呼ばれたが、ミラノに嫁ぐエロイーズのために画家であることを隠し、散歩に付き添って観察するうちに恋に落ちるという展開。
絵画的な映像に女性同士の恋愛というだけで美しい作品になるのですが、さらに感じられるのが身分違いの恋であるということ、修道女だったお嬢様がキリスト教では禁じられている自殺や堕胎に寛容になっていく様子、親の命令には逆らえない封建的社会といったことまで描いていたように思います。
特に辛辣だったのがメイドのソフィが受ける堕胎術のシーン。ベッドに横たわる彼女の横には幼子が二人無邪気に遊んでいるという不思議な光景を目にすることになる。これはエロイーズのイメージなのか?それとも実際に?と、マリアンヌ自身の心象風景ともとらえることができるのでは・・・と、見終わってからアレコレ考えさせられる。
一方、カードゲーム(大富豪か?)をするなど仲良くなった3人の女性たち。階級、宗教を超えて自由に青春を駆け抜ける様子が眩しすぎるのです。いつから好きになったの?などと、こっぱずかしい台詞もぽんぽん飛び出てくるマリアンヌとエロイーズ。ちょっとイタリア映画風だったりもするのですが、18世紀という設定からフランス革命以前なのかもわからなくなる。まぁ、後半はおフランスでしたが。
画家とモデルという関係において、スカーレット・ヨハンソンの出世作でもある『真珠の耳飾りの少女(2003)』も思い出してしまいましたが、心まで描くための意思疎通には恋愛を避けて通れないのかもしれません。二人はそれぞれ違ったシーンから好きになったと言っているけど、暖炉に絵をくべるところで心を解き放ったのでしょうね。う~ん、素敵。
もう一つ重要な伏線である「オルフェとユリディス」。振り返ると一生会えないのに、ついつい振り向いてしまうことを3人3様で解釈したり、別れのシーンにも見せてくれる白装束のエロイーズや、“最初の再会”での絵や28ページを示す肖像画(子どももいる)に双方の永遠の想いが秘められていた。全体的にはBGMがないのにマリアンヌの好きな曲(ヴィヴァルディ・夏)をラストにオペラハウスでここに持ってくるか!と、“最後の再会”でのマリアンヌの慟哭にはもらい泣き・・・
kossyさん、北陸大変ですね。富山に親戚が居るので情報来ます。
アルファベット順&アイウエオ順なんですね!美しい!私もその様にしてみたいのですが、情報と紙の整理整頓が苦手なのでダメです。うらやましいー!
ぷにゃぷにゃさん、鋭いです!
堕胎の件は望まぬ妊娠だったからなのでしょうね。
結婚したくないのもそれが原因だったのかもしれません!(鋭すぎ)
タイトルに関してはちょっとだけ謎のアイテム(お土産屋で買ったもの)がありまして・・・それを腋に塗って空を飛ぶどうのこうの・・・といったシーンがあったのです。植物由来のものなのか、何だったのか・・・(謎)
talismanさんとの堕胎についてのやりとりに乗っかると、マリアンヌは経験者だろうと私も推測します。
何となく、望まない交渉によるもので、それ以来男性を避けるようになったのかな、と。
結婚する気はないとあれだけキッパリ言うのも、もしかして…?
ただ、だから女性に恋するのか、というのは違うかな。
エロイーズとの心の交流ゆえで、性別に関係なく、湧き上がった感情ではないかと。
ぷにゃぷにゃさん、コメントありがとうございます!
ワンカット撮影が多かったし静かな作品なので、集中して色んなことを考えながら観ることができました。
カット割りが多くて情報量の多い映画は苦手・・・というか、ついネタを探してしまいがち・・・w
『真珠の耳飾りの少女(2003)』も良かったです。
kossyさんのレビューは目配りが効いてるなーと思いました。
1本の映画をこれだけ集中して見るの、すごいです❗️
堕胎させる、そういう女性は魔女扱いされて殺されたの(時代)ではないでしょうか。知識がある女性はそうだった時代です。今でもおんなじ?殺されてはないけどね。
kossyさんのコメント、素敵だと思います。多くの方が、エロイーズの「経験ある?」を男女のことと解釈してる方が多かったと思います。そうかも知れません。でも、ソフィーに打ち明けられて、野草探すって明らかに…と私は思いました。そういうハーブを探し、ソフィーをぶら下がらせて。経験なかったら指示できない!と思いました。その意味をぜーんぶ含めて、エロイーズは「経験あるの?」と聞いたんだと思います。
kossyさんのレビュー素敵💕 色んな方のレビューで、そっかーと思いながら美しい映画を思い出しています。マリアンヌが堕胎経験者と私は書きました。理由は、ソフィーが堕胎したいと聞いて、三名(でしたっけ)で、マリアンヌの指示で薬草を探したからです。だから、マリアンヌも堕胎の経験、或いはなかなか来なくてどうしようと思って、草を探したから、と思ったからです。もしかしたらマリアンヌは堕胎してない。男性と関係を持っただけかも知れません。でも、草に詳しい、ソフィーにこうしろといった姿勢指示がテキパキしていたので、私はマリアンヌは堕胎経験者と勝手に思いました。