「実話なので重い。でも共感するのは難しい」名もなき生涯 p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)
実話なので重い。でも共感するのは難しい
オーストリアの山あいの美しい風景のカットがたくさん挿入される。ピュアな信念を描いた映画なので、きれいな風景が主人公の考えの底にあるということだろうか。普通の人にはできない判断を最後まで貫くのを丁寧に描いていて、なぜそういう判断をすることになったのかはほとんど説明しない。説明しようとしてもできないし、下手に説明しようとしないことがドキュメンタリー映画のようで、リアリティを感じた。
「フランツ・イェーガーシュテッター」という人の話がベースで、実際に信念を貫いた人がいたことが驚き。たぶん映画で描かれたように、ジタバタしたり迷ったりはしなかったのだろうと思う。
上映時間は175分で、ほぼ3時間。話の進み方が遅く、映像表現として冗長に感じるところはある。主人公が異例の判断をする話なので仕方ない面があるけど、主人公の気持ちがわからないままの3時間は長かった。妻フランチェスカや娘3人との仲の良い平和な時間を何度も描いているが、どれも平易な印象で今一つ心に残らない。なので、全体として心を揺さぶられるところまで至らず。
貫いた信念は、キリスト教の教えに基づいているのだろうと思う。殉教について子供の頃から聞かされているような文化の中なら、この映画に感動するのかもしれない。
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