「ジョージ・エリオットの言葉に泣けてくる」名もなき生涯 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ジョージ・エリオットの言葉に泣けてくる
ずっと広角レンズなのだろうか、3D効果もあるように感じて目も疲れてくるのですが、中盤以降は慣れてくる。広大な自然の描写は心地よいのですが、家の中までこれだから目が人を追い続けると3時間弱の長尺はかなりつらい。
まずは退役軍人のための募金を頑固に断るフランツ。ここから村人たちの冷たい視線、やがて村八分のような扱いになる家族。だけど幼い3人の娘はいじけることなく、無邪気のままなのだ。「召集令状きちゃったよ」などと会話する村人たちの苦渋の表情も痛々しい。何しろ、祖国オーストリアのためじゃなく、ナチスドイツのために戦場に駆り出されるのだ。
道を歩けば石を投げられる、水をかけられるという嫌がらせを受けるフランツと妻ファニ。戦争が終わるまで耐えればいいんだという思いも儚く、フランツにも召集令状が届く。村の神父なんかも「国のために」などという言葉を使うが、あくまでもナチスに屈服することを拒むフランツ。そしてドイツへと赴くも、手を挙げなかっただけで投獄。そこから夫婦の書簡のやりとりが続くといったストーリー。
手紙を検閲されないだけでも日本よりも自由が感じられるのですが、愛情と信念の狭間で苦悩する心も伝わってきて、重厚さが増してきました。何度も弁護士から告訴取消しのサインを催促されたり、「誓いの言葉は形式だけだから」と説得されても、信念を曲げなくなったフランツ。ほんと、見てるだけで折れそうになるほど懐柔策が取られるのですよ。3時間の長尺のため、頭がくらくらしそうにもなりつつ耐えました!
終わってホッとする中、ジョージ・エリオットの言葉が最後に流され、こうした名もなき人のおかげで今の平和な世界がある云々といった内容に感動してしまいました。敢えて人を殺さない道を選ぶことが、当時の状況としては異例なこと。何も宗教的な面だけじゃなくてもいいんだけどな。
kossyさんへ
遂に、ガマン出来ずに劇場に行ってしまいました。広島はまだまだアレだしw
映画館の入りは通常の半分くらいでしたが、いつもなら酔っ払いでごった返している広島駅がガラガラ。飲みに出る人、ほとんどいないみたいです!