「テレンス・マリック新境地」名もなき生涯 オフさんの映画レビュー(感想・評価)
テレンス・マリック新境地
テレンスマリックだからこそ。映像は美しく、役者の演技は生々しく。そしてもちろん眠くなる。
撮影は1テイク20分~40分ほどの長回しだったという。それをかなり短いカットで細かくつないでいる。通常の映画のようにドラマの起承転結でシーンが作られるのでなく、登場人物たちの動きや会話は、途中から始まり、途中で終わる。断片的なイメージが映画に不思議なリズムと印象を与える。
見ているうちに、こうしたイメージの積み重ねに同化し、スクリーンに映っていない、編集で削られた山麓での暮らしを想像し、本当に主人公たちが実在して生きているような気持ちになってくる。実話がベースになっているからこそだろう。テレンスマリックは好きだけど、ツリーオブライフから前作までの、一連の「映像詩による物語の追求」から新たに一歩進んだ印象。次回作はいよいよキリストを真っ向から描くとか。かなり見てみたい。
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