「???な展開」マティアス&マキシム 映画イノッチさんの映画レビュー(感想・評価)
???な展開
監督が自ら出演する作品は、両刃の刃!
他の人では表現できない部分も絶妙に演じうまくいく場合と破滅的な駄作になる場合とで別れる。
これは前者!
監督自身の体験や想いが、目の動き・仕草・言葉の使い方等、細かいところにまでこの作品に表現されていていい作品だと思った。
マティアスの揺れ動く葛藤も見事に表現していると思う。
体の関係(快楽)だけを求めてゲイ行為に走る人はいるらしい。
でも相手のことを、愛しいと思い堪らずに禁断のディープキスをしてしまうという状況は、その範疇を超えている。
それがたとえもうすぐ会えなくなるという差し迫った状況下であったにしても。更には自分がもう少しで結婚してしまうという状況下であったにしても。
果たして男性と女性を両方同時に心から好きになるということが本当にあるのだろうか。
もちろん、色々なカテゴリーの同性愛者はいるだろうし、それは男女間でも言えることだろう。
ただ、好きになった人を振り返ってみると、少なからず傾向があると、拙い自身の経験からは言える。
好きなタイプの顔・体型・性格というのは全てではないにしても一貫している気がしてならない。
弁護士の卵のマティアスの性格は、昔も今もかなり問題アリ。しかも忘れっぽい。弁護士として成功するのか、信頼を得ることはできるのか?
私自身に何か問題が起きた時に、彼のような弁護士に担当してもらいたいとは思わないだろう。
主人公たちは、だいたい30歳という設定だが、そこに大きな無理があったと思う。
揺れ動く思春期、せめて20代前半の設定ならまだわかるけれど、高校時代から12年もの時が流れているのに………
マキシムは、ゲイかどうかもわからない人を、婚約までしている人を、一人だけをずっと思い続けていたというのか。
マティアスが渡さなかった推薦状
出発当日に玄関前に現れたマティアス
顔のあざのことをみんなの前で呟いてしまうマティアス
自分の婚約者が、女性ではなく男性に思いを寄せている事実を受け止めるだけでなく、応援さえしようとしている彼女
自分のお金を確保するために優しく息子に接する偽善者の母親。そしてその豹変ぶり
顧客として登場する男性もかなりやばいナルシスト。
???が多すぎる!
自分が経験・体験したことのない人達、そしてその言動に思考が停止してしまう。
結末は観た人にお任せのスタイルは、好きではないので星も1個減らした。
34歳で惜しまれながら監督業から身を引いたドランさんの他の作品を観てみたいと、この映画の余韻に浸りながら……