「実録モノの魅せかたの難しさ」シチリアーノ 裏切りの美学 h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)
実録モノの魅せかたの難しさ
実録マフィアものが好きな人は、ホンモノの話に最後まで引き込まれることだろう。
純粋に映画そのものを楽しみたいものとしては、淡々と事実の積み重ねや騒しい裁判の内容を延々とみせられても150分は長すぎる。
徹底的に真実を追求した作品にしたいのか、ドラマ性を強調した作品にしたいのか、どっち付かずの感は最後まで否めなかった。
邦題の「裏切りの美学」というテーマに最後まで共感できる内容の提示はなかったと思う。あくまで日本での宣伝の売り文句で、監督の意図するものではないかもしれないが。
ありのままの事実を作品で伝えるより(だったらドキュメンタリーでいいかもしれない。実際、Tommaso Buscettaの人生は若い頃から波乱万丈で興味深い)、「事実に基づいたフィクション」のほうが制作側のやりたいことや思いを作品に乗っけやすい気がする。
こればかりは、作り手の考えや観る側の好みもあるので一概には言えないが。
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