「邦題おかし。内容を端的に表していないし、裏切りを肯定してコーザ・ノストラ側に付いているみたい。主人公は組織とその実力者たちの方が「裏切った」と信じて証言したのだから。」シチリアーノ 裏切りの美学 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
邦題おかし。内容を端的に表していないし、裏切りを肯定してコーザ・ノストラ側に付いているみたい。主人公は組織とその実力者たちの方が「裏切った」と信じて証言したのだから。
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①全くの白紙状態で観たので、ビスコンティやベルトリッチが撮ったような一族の大河ドラマを予想していたら全く違いましたわ。②最近やたらと多い実話もの。コーザ・ノストラを扱ったイタリア映画はこれまでに何作も撮られているので新味は無いが暴露ものとしての面白さはある。③演出は淀みがなくだれない。上映時間の長さも感じさせない。描写も簡潔で的確である。ただ一人の人物の内面に鋭く迫ったり掘り下げているわけではないので、力作ではあるが深みはない。④法廷場面や刑務所でのイタリアンマフィアのボスたちの振る舞いには呆れ果てるが、人間あれだけ保身と偽善に必死になれるのかと思うと面白くも哀しい。⑤コーザ・ノストラは確かにシチリア島の風土に根差した独特の組織かも知れないが、社会の必要悪とも言える裏社会と表社会との癒着はどの国でもあること。遠くイタリアに限った話ではなく勿論日本でもございますとも。⑥主人公も他のボスたちもやったことは目くそ鼻くそに思えるけれども、映画はラスト、何年も待って標的が初めて一人になったところを撃ち殺すシーンにすることで、主人公はあくまでも堕落する前のコーザ・ノストラのルール(狙った標的以外の家族=特に女子供は巻き込まない)を守った「名誉ある男」であろうとした人間であったことを伝えて終わる。
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