「法廷シーン、すごい!」シチリアーノ 裏切りの美学 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
法廷シーン、すごい!
ドイツと言えばナチスでイタリアはマフィア、そういった印象があるし映画も沢山ある。イタリアでは「マフィア」というのは存在しないと教わるらしいがドイツではナチスは忘れてはならない歴史上の事実で同じように扱うことはできない。それでも十把一からげに映画のテーマになるのはそれぞれの国の人にとって不快なんではないだろうか。そもそも一方は服従と歓喜と同調圧力が、一方は貧しさがそれらを生み出したのだとしても。
「人間が作り出したものは人間の手でなくすことができる」(だったかな?)や、あの時のコーザ・ノストラは、といった言い方で過去を美化するなというファルコーネの言葉には、人間の強さも弱さも知る明晰な頭脳と、法律が天職である気概と自負があった。だからこそブシェッタは最後までファルコーネを信頼し尊敬したんだろう。
法廷のシーンはたまげた!見る価値あり!Silenzio!と叫びまくる裁判官、(シチリア)方言でなく標準イタリア語で話せとがなる弁護士達、悪口雑言で裏切り者呼ばわりする大量の被告人とその妻達。本当にこんな大法廷があったのか…!
イタリアの警察に保護されているブシェッタが、遠く離れている妻に電話でamore mioと声をかけながらも(当局に聞かれているから)言葉少なに話し、amoreと呼びかけた妻はベッドの上から身に何も纏わずに応える場面はエロティックで究極の愛の表現だった。
それにしても濃い!20親等まで殺しまくる考え方(よく数えられるし、たどり着けるもんだと思う)、姓が同じだけで殺すとか、とにかく半端ない。もちろんいい意味でシチリアの家族・同胞思いは暑苦しいほどで癖になる。シチリアは美しい海に囲まれているけれど内陸部はゴツゴツの乾燥地帯。歴史と色んな血が層になっている所だ。
かなり複雑な内容ですし、トンマーゾの家族については書かれていましたが、「ファミリー」や「血の掟」の重さが全然描かれていませんでしたから、そういう重さや異例さが伝わらなそうです。
今晩は。
標準イタリア語と方言の違いが分からず(イタリア語は聞き取れないし、当然シチリア語は読みも出来ません・・)法廷シーンは面白くもちょっと自分に苛苛したNOBUです。(勉強しておけば良かった・・)
今作品、鮮やかな色合いも宜しく(特に深紅かな・・)面白かったのですが、登場人物の多さと経年劣化のメイクについていくのが大変で、ちょっと疲れました。が、ファルコーネ判事爆殺のシーンで椅子から”ピョン”と飛び上がり、再び大画面に没入しました・・。
久しぶりの伊=仏=ブラジル映画、見応えありましたねえ・・。
では、又。
ー明日は”刈谷日劇”に行こうかなあ・・。3が付く日は、1作、1000円なんです。太っ腹だなあ・・。でも、2作観ると臀部が痛くなりますが・・。ー