「【”唐軍20万兵VS高句麗5千兵の攻防” 今作は、朝鮮史上有名な安市城包囲戦を描いたキングダムもビックリの見応え十二分な壮烈な戦絵巻である。朝鮮の民の嗚咽と喝采が木霊する作品でもある。】」安市城 グレート・バトル NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”唐軍20万兵VS高句麗5千兵の攻防” 今作は、朝鮮史上有名な安市城包囲戦を描いたキングダムもビックリの見応え十二分な壮烈な戦絵巻である。朝鮮の民の嗚咽と喝采が木霊する作品でもある。】
■西暦645年6月。
唐の皇帝・太宗(パク・ソンウン)は朝鮮半島全土を支配するために、20万人を超える大軍を率いて高句麗へ進撃する。
高句麗の城主が次々と降伏するなか、安市城の城主、ヤン・マンチュン(チョ・インソン)は安市民を守るため、たった5千人の兵を率い無謀とも言える戦いに身を投じていく。
そんな彼の元に、平壌城の城主の配下だったサムル(ナム・ジュヒョク)がやってくる。彼は、唐の大群が来た際に、戦いに出ずに城に籠ったヤン・マンチュンを密かに殺そうとしたのであるが、ヤンの器の広さや、戦を高所大所で見る姿に惹かれて行くのである。
◆感想
・安市城包囲戦は、朝鮮歴史上に残る且つて朝鮮に有った高句麗が唐に勝利した戦いであるが、安市城がヤン・マンチュンであったという記述と、氏名不詳という記述があるが、今作ではあまり関係はないであろう。
・今作の見所は、たった5千の兵で安市城を固めるヤン・マンチュンと、その配下、チュスジ(ペ・ソンウ)や彼と仲が良いのか悪いのか分からないファルホら強者たちのキャラが立っている事と、彼らや安市城市民がヤン・マンチュンを慕う姿であろう。
又、ヤン・マンチュンが、サムルが自分の命を狙っていると知りながら、戦の前に彼の立派な小刀で髭を剃れと命じるシーンなどもナカナカである。サムルは震える手で少しだけヤンの髭を切るのだが、この時点でサムルはヤンの人間の器の大きさに惚れているのである。
・又、ヤン・マンチュンの弓の使い手妹ペクハと彼の腹心パソとの恋や、パソが密かに太宗を暗殺に行った際に、ヤン・マンチュンの元婚約者で、巫女のシミが唐には勝てないから、降伏してくれという意味で、その暗殺を内通したためにパソが亡くなった際に、ヤンが周囲から”殺してくれ!”と言われた際に、サムルが躊躇なくパソの首を斬るシーンと、その後弔い合戦の様に、独りペクハが太宗に馬で近付き頬に矢で傷をつけるも、無念に刃に倒れるシーンも、印象的であり、朝鮮の民の涕泣が聴こえて来るようである。
■太宗が、ナカナカ攻略できない安市城に乗り込むために人為的に作った“山”を、ヤン・マンチュンを慕う市民たちが、命懸けで山の下に穴を掘り唐が山に乗って攻めて来た時に、内側から自らが犠牲になりながら崩すシーンの迫力は物凄いモノがある。
そして、市民たちの姿が沁みるのである。
・一方、サムルは平壌城の城主を訪れ、ヤン・マンチュンが唐と戦うのに平原では勝ち目がないと判断したために城を出なかった事。そして、彼が高句麗の民を思う気持ちを訴えるシーンも沁みるのである。
<唐の猛攻が続く中、ヤン・マンチュンが高句麗に伝わる強弓、朱蒙神の弓矢を引き、その矢が高く飛び、太宗の左目に突き刺さるのである。そして、更にサムルの訴えを聞いた平壌城の城主たちが駆け付ける中、到頭太宗は、撤退を告げるのである。
今作は、朝鮮史上有名な安市城包囲戦を描いたキングダムもビックリの見応え十二分な壮烈な戦絵巻である。朝鮮の民の嗚咽と喝采が木霊する作品でもある。>