「剣の重みを感じない」るろうに剣心 最終章 The Final 🍰👸🏼ヨハン・ねぼすけ🍰👸🏼さんの映画レビュー(感想・評価)
剣の重みを感じない
剣の重みというのは、その剣を持つ人間のリアリティーが生み出します。
登場人物たちにリアリティーがなければ、どんなにすぐれたアクションシーンもよく出来たチャンバラに見えてしまいます。
映画の登場人物が本当に存在すると錯覚するから、私達は映画の世界の出来事で泣くことが出来るのです。
登場人物がリアルに見えるのは、その人物の感情の変化がリアルに感じられるからですが、この映画ではその描写を端折り過ぎました。
愛した人が死んだということを伝えたいのであれば、死んでどんなに悲しかったかという結果を叫び声や表情で短時間で表現するのではなく、どんなふうに生前の彼女を愛していたかという描写に重点を置くべきだと思いました。それによって彼が何を失ったのか、その失ったものを埋め合わせるために何が必要なのかということに説得力を持たせることが出来るからです。
感情の変化ではなく、変化の結果だけを見せられているので、雪代縁の壮大過ぎる復讐や亡くなった姉への依存が不自然で大袈裟なものに感じられてしまいます。怒りや憎しみ、悲しみ、という感情が単なる記号のように登場して空回りするだけで、一人の人間の精神の重さを持って迫ってくることはありませんでした。大勢の雑魚を倒すアクションシーンや、あまり意味のない登場人物を削って、人物描写に時間を使ってほしかったです。
役者の皆さんはすごくよかったので厳しい点をつけたくないのですが、脚本が良くなかったかなと思います。