劇場公開日 2021年4月23日

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「奪った命と救った命の重さ」るろうに剣心 最終章 The Final フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

奪った命と救った命の重さ

2021年5月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

義弟との意見の相違の話

原作は読んたけれど映画前作は見たはずなのにほとんど記憶にない感じで鑑賞してます。

ます言いたいのは、日本のアクションのレベルがここまで達していたことへの驚きでした。

自分は小さい頃からアクション映画は洋画ばかり見ていたためアクション系邦画に対してあまりいい感情がありませんでした。
スタントとかスケールとか迫力とかどうしても洋画に敵わないと思いながら過ごしていたのです。

だからゴジラとかガメラ、ウルトラマンとかは申し訳ないけれどチープだなって印象だったのです。
これらの作品は特撮なので厳密にアクション映画とは違いますが、邦画全体を軽んじていました。
最近になって、特撮映画の良さや心意気、情熱、などをようやく理解し始めたのです。
いかに限られた条件下で魅せられるかを探求しつづけ、努力と試行錯誤の上に成り立っていたのか知りもしなかったですね。

そんな私でも今回の「るろうに剣心The Final」は「凄い」と「カッコいい」の連続でした。

まず冒頭の列車シーンから度肝を抜かれました。
あんなに人間が吹っ飛んだり、乗車席がぶっ壊れたり、体術が華麗だったり、瞬きを忘れてしまいました。
スピード感とか人体ってそんな運動できるの?って唖然としながら見てましたね。
ワイヤーアクションとCG合成が巧みで、とにかくアクションシーンがカッコいい。

欧米のガタイのいいマッチョマンがぶん殴り、ぶん投げ、ぶっ壊す、といった見栄えするシーンを、日本人の比較的きゃしゃな体の人たちが織りなす大立ち回り。
素早さ、跳躍、剣撃は次世代チャンバラとでも言いましょうか。見ていて気持ちいいの一言です。
それぞれのキャラクターの動きや戦い方が映像として上手に映されてたと思います。
漫画の動きを実際にやったらこうなるんだな、ここまで再現できるんだなと感心しました。

ストーリー自体は原作をほとんどなぞり、続く「るろうに剣心The Beginning」への伏線も張られてるし不満な点もほぼありませんでしたね。
ただ、原作を知っている身としたは、縁が劇中ラスボス級の強さのキャラなので次のThe Beginningにおけるラストバトルが本作以上の盛り上がりを見せられるかかがちょっと心配。
これ以上のバトルは見れるのかな?それともストーリー重視でいくのか。次回作がたのしみです。

概ね大満足だったのですが、不満だった点
まずは鯨波ですね、原作ではかなりの巨漢でアームストロング砲を片手につけても違和感のないデザインだったのですが、本作では阿部進之介さんが体重を大幅に増量して演じておりましたがどうにも違和感がありました。
出来ればプロレスラーや力士くらいの肉質で有る程度説得力のある鯨波が見たかったですね。武器に振り回されてる感が否めませんでした。

また、雑魚敵の覆面が映画「300」の不死の軍団アタナトイが付けてる面の様なデザインだったのでそこわもっとオリジナリティが欲しかったです。

あとは若干攻撃の不自然さと言うか重さが足りなったですかね。そんな蹴りで人って吹っ飛ぶかな?剣撃で吹き飛ばされるかな?って思えるシーンが少しだけありましたね。
体重を乗せた攻撃があまり上手く表現できてなくて、見た目での派手さでごまかしてた所があった様に思います。

不満な点は書きましたが劇中はそんな事考える余地がなかなか無いほどアクションと役者の存在感で存分に楽しめました。
数々の時代劇から脈々とつづく殺陣の進化とスタントの妙技の最先端がこの作品には宿っていて、それを垣間見れただけで、満足感と喜びに満ちて鑑賞できました。

この作品が日本の映画史に名を刻むのは間違いないし、邦画がここまでやれるんだと世界にアピールできたと思います。
アジア映画で世界に通じるアクションはそこまで多くないけれど、日本のチャンバラここありと宣言できる誇らしい作品です。

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劇中セリフより

「俺にぐらいは話したっていいんじゃねか?」

自分の引きずる過去、因縁を受け止めてくれる人が居るだろうか?
話せる相手が欲しいし、話してもらえる存在になりたいものですね。

フリント