「まだ無理だとしても諦めたくない」るろうに剣心 最終章 The Final Fさんの映画レビュー(感想・評価)
まだ無理だとしても諦めたくない
原作未読で概要だけ把握、実写映画のみ過去作全て鑑賞済みです。ひとつの総合的な映画として評価するなら★2.5、アクション一点突破映画として評価するなら★4.5です。この規模の邦画は滅多にないことから、そこそこ高い期待と共に鑑賞したため、長めに感想を。
アクションは凄まじかったです…!あれは映画館で大画面で見る価値あり。円盤が欲しい、じっくり観たいと思わせる完成度で惚れ惚れしました。
ただし悲しいかな、物語の構成と脚色が上達しないまま、徒に作品を重ねてしまっている残念さがじんわり。せっかくシリーズなのに無印から物語の出来はなにも変わっていません。邦画でこの出来は充分すごいよ!と褒めたいけど、私はいつまで「邦画ならこの出来で充分頑張った」って言い続けるんだろうな…と考えてしまいました。
とりあえず物語の線がバラバラ、編み上がっていないし何も繋がっていない。また緩急をつけているというよりは緩急しかないので、わーすごい!と思う最高の場面とダラダラしてて眠い場面の繰り返し。どちらかと言えば次のThe beginningの方が楽しみだな〜とダラダラした場面であくびをしてしまいました。
長編作品をまとめるのは大変っていうのはわかるんですが、いろいろ端折りすぎてるのは原作未読でもさすがにわかる。いやこことこことここのダラダラした場面無くせばもっと大事なものがいくつか入ったんじゃないの?と思わせる構成の不思議さ。
そろそろ脚色が上手な方、映画業界の中で育っていませんかね?もう充分失敗を重ねていると思うのですが。
あと薫はシリーズの中でいったい何回攫われる?デジャヴ?と思ったり。原作に忠実(?)なんだろうけど、今この現代に映像化するにあたって、時代に合わせて少しも捻ってくれない。そこについて考える余地すらなさそう。まあ所詮女なんて添え物に過ぎないのだな、というのがヒシヒシと伝わってきます。曲がりなりにも師範なのに木刀を振る動作すらろくにないのは何なのでしょうね。時代が違えばもっと動ける女優さんがこの役をできたかも。激しいアクションができなくてもいい、という風潮は変わらず。操はさすがでしたが、今思いつくの彼女ぐらいですよね。こういう大作に出られる位置にいて激しいアクションできるのって。
剣心と縁は素晴らしかったと思います。彼らが出てくると途端に作品の本来の目的が戻ってきて、最後のアクションもすべて堪能できました。
なんだかんだ言いつつ、The beginningも観に行きます。このシリーズにまつわることはすべて目の当たりにしておきたいので。この先、この規模で作られる作品が増えて、さらに良いものが生まれる過程が見たいです。まだ邦画には無理かもしれない、でもこの国の作品の鑑賞者として諦めたくない。そう強く思いました。
とりあえず、アクションの最先端を切り拓いた作品として、評価させていただきます。