「邦画アクションの最高峰」るろうに剣心 最終章 The Final おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
邦画アクションの最高峰
原作漫画を読んでいたのは遠い昔。実写劇場版も前作から7年の歳月が流れていますし、過去作をすべて鑑賞したわけでもありません。というわけで剣心の世界観は覚えていますが、ストーリーについては記憶が曖昧なまま鑑賞してきました。でも、過去作とのつながりはもちろんあるのですが、話そのものは本作単体で成立しているので、問題なく楽しめました。
鑑賞後の率直な感想としては、とにかくアクションシーンの迫力に尽きます。スピーディかつトリッキーな動きの数々が圧巻で、どのシーンの役者も超絶かっこよく見えました。また、大勢の演者を投入したスケールの大きさ、目まぐるしい場面の切り替え、打撃や斬撃の重さが伝わる演出等もたまりませんでした。
そんなアクションシーンが冒頭からラストまで、要所要所にしつこくない程度に散りばめられていて、最後まで目が離せません。主演の佐藤健くんはもちろん、江口洋介さん、伊勢谷友介さん、土屋太鳳さん、神木隆之介くん等、どこを切り取っても上質なアクションが堪能できます。邦画でここまで見せてくれれば言うことはありません。中でも、新田真剣佑くんは、アクションシーンはもちろんのこと、本作の敵役としての役割も十二分に果たす好演を見せています。主役の輝きは、敵役あってのものなので、彼の演技が本作をしっかり支えているといっても過言ではありません。
ただ、このアクションの魅力と俳優陣の好演をもってすれば、もっと奥深い作品になったのではないかとも感じます。雪代巴に対する、剣心と縁のそれぞれの思いはもちろん描かれているのですが、そこをさらに深く丁寧に描いてくれたなら、ラストはもっと心に刺さるものになったような気がします。逆に言えば、ここが薄いと、ただの剣劇アクション作品に成り下がってしまうのですが、本作はそのギリギリのところで踏みとどまっているように感じました。尺を考えれば、むしろうまくまとめている気もしますが、ここまでのクオリティに仕上がっているからこそ、さらなる高みを目ざしてほしかったところです。