劇場公開日 2021年2月26日

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あのこは貴族のレビュー・感想・評価

全199件中、141~160件目を表示

4.0同じ東京タワーを観ている

2021年3月3日
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鑑賞方法:映画館

岨手由貴子×門脇麦×水原希子「あのこは貴族」2人が初めて同じ光景を観るシーンで美紀(水原)が華子(門脇)に語る言葉がこの映画の全てを表していたと思う。ジェンダー、家長制度、地縁、血縁、因習、人を抑圧して可能性を奪うシステムに対して、抵抗のスタートラインに立つ人たちの物語。

当然、門脇麦と水原希子は素晴らしいんだけど、「朝が来る」でも光っていた山下リオが素敵でした。あと、「キッズ・リターン」「佐々木、イン、マイマイン」に続く、チャリ2ケツ名シーンが誕生していたことも記しておきたい。

もうひとつ書くと、「関西人はまたこんな扱いかよ!」と某シーンで少し泣いた。

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ピンボール

3.5平民の世の中に。

2021年3月3日
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色々と考える、考えさせられる映画。

東京にある階級という見えない壁の区分け。
見えないからこそ
お互い疑問に思うところは
それぞれあるという
世の中の生き方。

貴族は生まれながらに
貴族としての人生の路線に沿う。
そんな中の
大学という人間交差点。

ステルス ソーシャル ディスタンス

大半が平民の世の中に、
貴族として生まれたからこその
立ち振る舞いや仕草が
時々出てくるのですが
とても細かくて面白かったです。

役者のキャスティングは
見たくなる役者さんばかりで
演技は勿論、最高でした。

あとは、
私は途中の漢字が読めなかったので
もっと勉強したいと思ったw

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饂飩蕎麦

4.5赤いスカート

2021年3月2日
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鑑賞方法:映画館

そんなにめかしこんでどこに行くの?
そんな格好で行くの?
同じ赤いスカート一つでも真逆の反応をする、そんな環境格差の表現は絶妙で見ているだけでその家族の物語が見えて来て面白い。

環境や階級に無抵抗な華子が、違う生き方の広がりを感じる。そのきっかけが美紀だった展開は、なんだか彼女たちの視野の広さみたいな、お互いを尊重するような、知性の様な凛とした印象でとても良かったし心に響いた。

埋没しない彼女たちの物語に大いに涙し、スッキリし穏やかな気分に落ち着く、最悪な日があっても持ち堪えられそう。

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パプリカ

4.0金持ちと貧乏の生きづらさ

2021年3月2日
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東京の名家と、それよりも格下の金持ち=「貴族」たちの生きづらさと、地方下層庶民の生きづらさを重ね合わせて、端正に描く。知らない世界というより、旧態依然の世界(女=専業主婦・子育て・内助・性欲処理係)にあきれる。女性達が階層を超えて、男の作った世界を乗り超えていこうとする志向がとても良い。奇をてらわない脚本で最後まで飽きさせない映画の好例。

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ごまめ堂

4.5閉塞感からの解放で開いた優しい世界が"繰り返す日々を過ごす我々"への賛歌に

2021年3月2日
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鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

正直言って、映画を観ているときは、ぼんやりとしか掴めていなかった。しかし、見終わった今、無性に彼女たちの背中を追いかけたくなった。そして気づいた。彼女たちが主人公の映画は、たった今始まったのだと。

何よりこの作品が素晴らしいのは、ダブルヒロインでありながら、互いから見ると、人生のひとピースに過ぎないところである。松濤に住処を構えるお嬢様の華子と、富山から上京するも大学中退を余儀なくされた苦労人の時岡美紀。青木幸一郎が唯一の接点であったはずなのに、ふたりの異なる物語が並走し、互いの人生賛歌へと昇華されていく。都会に暮らしていても、田舎から出てきても感じていたのは、狭くて身動きの取れない息苦しさと、独り立ちも許されないような環境。富山では親の仕事を次ぐ人ばかり、都会では生まれながらのレールから外れることを許されない。そんな閉塞感を否定するのではなく、彼女たちの手でユートピアを拓いていくような優しさで包み込んでゆく。都会の景色は他人事で、自分の足で立てずにいた彼女たちは、ひゅるひゅると変わっていく環境に流されてしまう。そこから自分の足で立つ方法を身に付けた時、初めて見える景色がそこに広がっている。それこそ本当の都会の景色なのではないか。門脇麦を都会のお嬢様、水原希子を田舎の苦労人として描くアンバランスさは、作品内で見事に意味を成して熟れてゆく。そこがまた深くて優しい、この作品の凄みだと思う。

彼女たちを知りたくなって、ついパンフレットも買ってしまった。この作品は、単なる女性賛歌ではない。"日々を繰り返す全ての人"に次ぐ人間賛歌なのだ。山内マリコ原作にハズレなし。さて、いつもより軽くなった足で、新宿を歩くとしよう。

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たいよーさん。

5.0東京      25

2021年3月2日
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松濤に住んでるより慶応幼稚舎ですかぁ

底辺で描かれている水原希子でも慶応入ってるからね

また凄い監督が現れました

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たれぞう

3.5日本の貴族はこの映画を見て励まされるだろう

2021年3月1日
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自己完結的な作品
想定以上のもの何もなかった
キャストの演技に+0.5⭐︎

むしろ章分けからは監督のテクニック不足を感じた→まとめやすくするために文章を章ごとに書くとかってよくあるじゃないか?

形式は置いといて

いい話、素敵な話だった
ただこの映画何を強調しようとするか、観る人に何を感じて欲しいか、全く掴めなかった
自分自身がこういうのに向いてないかも
どんな出身でも、自力で目の前の生活を頑張るべきだ
ってことだろう
これだけなら十分伝わったが、これだけか?
遠回りしてる気がするけど?
そもそも監督はどんな観客を想定し、どんな感情を引き立てようとしてるだろう

傍観者としては、
貴族という全く触れることのない人間の生活は、見せ物のように新鮮に感じた
それを見ながら登場人物の感情変化を吟味する映画館の時間が、華子の注文したダージリンミルクティーのように濃厚で楽しく感じた

唯一橋で手を振ったシーンだけ良かった



観客としての自分自身の感情に訴えられたことが何一つもなかった

後味がほとんどないことが残念

どっかの同じような貴族が、この映画を見て励まされるといいね

ps小津好きとしては
この映画、特に第一章は小津映画の面影を持ってはいるけれど、監督さんは恐らく意識して作っているわけでもないし、そもそも話が全く違うから全然似ていないかな

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レイン

4.0深い

2021年3月1日
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いい映画だったなぁ〜。やっぱり結婚=幸せでは無い!!
周りが結婚してるから焦ったり、家族が結婚しろって言うから結婚、みたいなのは違うと思う。自分がどうしたいかそれが本当の幸福。でも生まれてからみんな家族や環境に洗脳されてるんだからそれは仕方ないことだし自分のこれまでを否定するって怖いですよね。

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rikuma

4.0「見えないもの」を見せる映画

2021年3月1日
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「クラス」は世の中に確かに存在する。コミュニティはそこで形成され、育ったコミュニティの中は居心地が良いけれど、別の階級との接点によって、優劣を生みやすいもの。

そうした「見えないもの」を、ごく自然に嫌味なく、それぞれのキャラクターの美しさを起点に、丁寧に表現されていた役者さんたちに脱帽です。とても静かでゆったりと時が流れる映画なのに、あっという間だし、目を離せませんでした。

物語としては、生まれた場は場として、それでも個として成長し、輝こうとするとき、ともすれば対立構造で描かれがちな「女同士」を「女同志」として成立させていたところが美しかったし、希望を感じました。

水原さんの「どこで生まれたって、最高な日もあれば悲しい日もあるよ。でも、その日あったことを喋れる人がいるだけで十分じゃない?案外そういう人に出会えることって少ないから」「(門脇さんの世界も)うちの田舎とそんなに変わらないね」というセリフ、こんな家初めてじゃない?と聞かれた門脇さんが答える「ここにあるのは、全てみきさんのものだから」この3つのセリフに全てが集約されると感じました。

(3/12追記)
小説を読んでみました。
美紀と華子が初めて引き合わされる女性3人のシーンや結婚式、離婚、一年後のシーンなど、物語の中でキーとなる部分があまり入っていなかったんだー!と驚きました。時間の都合などもあったかもしれないけれど、もしこのエッセンスが組み込まれていたら、女性たちの友情や華子の孤独感、幸一郎の人格が形成された理由、華子の解放が、違って見えたかもしれません。映画は映画として良かったです!

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Kiki

4.0岨手由貴子監督恐るべし

2021年3月1日
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静かながらも、心が揺れ動く特別な映画でした。
日本の女性監督で、またもや才能豊かな方が出現しましたね。
西川美和監督やタナダユキ監督、河瀬直美監督など日本映画を今や引っ張ってる存在ですが
岨手由貴子監督もその中の一員になっていくであろう存在になると今作を見て思いました。

最近の韓国映画にある女性の社会的立場の生きづらさを似た感じで描いた映画かと思いきや、そこまで女性だけにスポットを当てず
男女問わず人の人生の幸せや悲しさを上品に描いているなと思いました。
個人的に門脇麦と水原希子が初めて出会うシーンの、門脇が水原に対して若干マウントを取る感じが、意外だけどリアルでよかったです。
ラストシーンは号泣しました!

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モン吉

4.0雛人形と貴族

2021年3月1日
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大学の内部生と外部生、東京出身と地方出身者、タクシー移動と自転車移動、婚約者とセフレ…

対比しながら進んでいく中で共通するのは、東京のアッパー層も田舎のマイルドヤンキーも根本的には同じだということ。

本作は渋谷区松濤で生まれ育ったお嬢様の華子と地方から上京し逞しく自由に生きる美紀。同じ空の下、生まれも育ちも異なる二人が出会うことにより華子の人生が解放されていく。

▶︎東京で生きる地方出身の女性にはとくに共感されるのではないだろうか。女性だけでなく、東京で長く住んでいる人はわかりみが深い話ではないかと。

かくいう私も美紀 側の人間、東京に憧れ地方から上京した者で、これまた大学で出会った友人に広尾の豪邸で生まれ育ったお嬢様がいる。まさに彼女は貴族、これは自分の話ではないかと思ってしまうほど。

▶︎本作は人物の描写や会話、服装やバッグなどもリアル。シェラトン都ホテル東京の天井の高いラウンジでお茶をする華子たち、実際にあのようなお嬢様達がホテルのラウンジでアフタヌーンティーを楽しむ姿はよく目にする。
美紀の地元の富山での“地元あるある”もリアルすぎて思わず笑ってしまうほど。

▶︎東京の階層
東京といっても舞台は港区、中央区、渋谷区、千代田区中心に進んでいく。
ホテル椿山荘、シェラトン都ホテル東京、日本橋のマンダリンオリエンタルホテルなど優雅なシーンも多く華やかである。
美紀が劇中話すように東京は場所によって棲み分けされており、違う階級のものが出会うことはない。暗黙の了解、はっきりと分断されていて今後もその分断は続いていくのだろうか…。

▷東京でお受験を経験したことのある人ならわかる話ではあるが、有名私立幼稚園や有名私立小学校では親が東京出身(上流階級に限る)か地方出身者かでも子どもの合格率が違う。(その学校出身の親族がいるか否かで決まる)親の中でもヒエラルキーが存在するのである。

▶︎本作を通して感じる自分らしい生き方と幸せの価値観

アッパー層にはアッパー層なりの苦悩(生まれた時から決まった道、選択の自由がない)が描かれていて、幸一郎からは諦めのようなものも感じられる。

▶︎女性の中には 結婚=幸せという価値観が未だに罷り通っているが、多様な生き方が選べる今、改めて自分らしく自分の幸せを追求して生きていく幸せもある。

▶︎美紀と華子、華子の友人の逸子が会うホテルのラウンジでのシーン、逸子の言葉が個人的に刺さった、そしてこれからの女性の一番賢明な生き方ではないだろうか。

▶︎ドロドロシーンになるかと思いきや、なんとも穏やかで相手を受容するかのような対応。金持ちケンカせずって本当で、育ちの良さが現れている。好感持てるなぁ。

▶︎脚本も監督も女性の監督が手がけたからゆえに女性の視点で描いている。だからこそ女性は共感できる。爽やかで瑞々しい、秀作です!

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あさ

3.0(p_-)当たり前ほど難しい

2021年3月1日
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幸せになるって事は水原希子が門脇麦に言った言葉、、、どのような階層にいようと今日の事をなんでも話ができる人がいる事なのでしょう。その何でも話しができる人って簡単にいる様で実は作ろうと意識すると作ることができない奇跡の様なものでしょう。物質的に恵まれていたり、権威や権力を持つとそれを感じにくくなるのでは?貴族でいる限りわかりづらくなるんでしょう。門脇麦と高良健吾の夫婦は貴族同士なのでとりわけすれ違いだったのでしょう。ラストシーン。門脇麦は元旦那をどう思い見つめたか?
観客に問うてます。

小生は門脇や高良の様に貴族ではなく、かと言って水原の様な頭がいい庶民でもなく、共感できる階層がなかった。このまま社会の波に呑まれそうな、いやもう呑まれている自分を考えるに少し不安を覚えたのだった。

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おにっち弐号

4.0役割を全うする素晴らしい人生!

2021年3月1日
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この映画で登場する人物たちの階層は、それぞれ違うのですが、誰が偉いとか偉くないとかという古い価値観を払拭するテーマに、共感しました。つまりどんな生き方であろうと、全てが尊く光り輝いているということなのでしょう。もっと根源的に言えば、貧しく生まれたり、金持ちに生まれたりするのも、全て生まれる前から相談しあって生まれてきて、それぞれが嫉妬したり、尊敬したりしてそれぞれの役割を全うしていくのだと思います。門脇は貴族の階層に生まれていますが、貴族という言葉は死語なので、単なる小金持ちです。富山県から上京した水原は貧乏のために大学を断念します。高良は議員の家のレールを歩きます。この3者のに生き方の絡み合いが、なんと穏やかで清々しいのでしょうか。最終的には、女性たちは自分軸で生きることを模索し、高良は議員をまっとうして行きます。それぞれが、自分に与えられたこの世の役割に気づき、前を向いて歩き出すのです。そのことだけで、胸が熱くなるようなストーリー展開に感動します。この映画の中では、結婚という概念は古い価値観として描かれているようです。じんわりと感動が押し寄せてくるところが素敵な映画です。高良の雨男ぶりや、門脇と水原がオレンジのプリーツスカートを履いている演出には、不思議な暗示を感じる作品です。

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三輪

4.0小津安二郎的な佇まいの映画

2021年3月1日
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声高ではない。しかし、的確な、見てる側に響くエピソードの積み重ねで、自身の常識から解き放たれて自立していく様子が、女友達を介してのことなのも魅力的。
なんといっても門脇麦のイノセントな女性像が画面での説得力を持つ。
取り立てて新しい題材ではないが、丁寧な組立で、様々な問題が見える作り。(どちらの世界も、いやなところがあるという描写が、きまじめなほど平等に描かれる。どちらも自分で歩きたい女の子には不愉快な場所)
出会うはずのないCLASSの人が出会えるのが「学校」という場所なのだけれど、それも今後はかなわぬ場所となりそうな今の日本は、果たして広い世界に気づく若い人が育つのだろうか、とふと心配になった。

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ユウコ

4.0#18 魚津の家の再現度が凄い⛰

2021年3月1日
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ウチは魚津じゃないけど、あの富山の田舎の実家の再現度が凄かった。

転がってる一升瓶も北洋だし。

私もよく弟に魚津駅に迎えに来てもらったなあ。いつも夜だったけど。

コロナのせいでもう1年以上魚津駅からの山の風景を見てないから懐かしくてありがたかったです。

細かいこと言うなら山方面の家なら銀座商店街を通るのは不自然だよね。

肝心の映画は東京の金持ち層と、田舎から上京した一般人あるある。

確かに東京は自分と違う層の人と会わないように出来てるけど、たまに遭遇したときのビックリ感はハンパない。

松濤がご実家なんて人見たことないもん。

田舎にいても都会にいても家に縛られる人は同じって考え方が凄い。

自分の心の赴くままに自由に生きられる人はこの世には少ないんだろうか?

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chicarica

4.0ふわっとした作品

2021年3月1日
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上品で丁寧な作品

門脇麦の表情が見事

階層や違いの感じさせ方が見事

出来事を適度に飛ばしながら、説明口調ながら、違和感の無い作りに拍手

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Daiki Sugiyama

4.0本物の上流階級の方々って何処に?

2021年3月1日
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なんとか姉妹とか靴下嫌いなおっちゃんみたいなセレブ(?)しか見たことがない。
この映画、特に大きな事件が起きるわけでもなくストーリーは進んでいく。
(結婚、離婚などは自分たちにとっては大きな出来事だけど)

山内マリコ作品では出身地の富山は刺激がない場所、都会に憧れる人物がたくさん出てくる。今作も同様。
おっさんも大学時代、東京にいたので憧れの気持ちはよくわかる。
でも、結局、松濤に住む人って出会わなかったなあ。
あの方々には、何処に行けば会えるのだろう。まあ死ぬまで縁もないけどね。

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にいやん

1.0見るべき人のために作られていない映画

2021年3月1日
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単純

難しい

「はちどり」、「82年生まれ、キム・ジヨン」ときて出るべくして出た映画。テーマ設定だけでも褒めるだろう人だけが褒めるであろう映画だが役者がとにかく素晴らしい。が、それを収める構図が拙い。役者と原作に監督が追いついていない。

そしてなによりこういうテーマを孕む映画は「マッドマックス 怒りのデスロード」や「花束みたいな恋をした」、「ジョーカー」クラスに広まるべきとまでは言わないが、マジョリティに少しでも広まるよう本気で狙わなければただ賞レースのために社会問題を消費し、このテーマに対して元々教養や問題意識のある富裕層リベラルの内輪で再生産し続けるだけの消耗品にしかならない。この手のテーマありきで中心へ向かう意思のかけらもない映画を評価しても社会が全く良くならないことを映画における日本の評価機構はそろそろ学ぶべき。

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むす子

3.5息苦しいときは深呼吸

2021年3月1日
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好感が持てる丁寧な作り方。市川準監督が亡くなってぽっかり空いていた心の穴を彼女が埋めてくれそうな気がする。

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アマチュア

4.0日本はまだまだ不自由な国なのだ

2021年3月1日
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鑑賞方法:映画館

 女たちの群像劇である。21世紀に入っても未だに封建的な精神性が色濃く残るふたつの世界に住む若い女性たち。ひとつは名家、良家と言われる代々の大金持ちの女性たちで、もうひとつは地方都市の女性たちだ。前者を門脇麦が、後者を水原希子がそれぞれ演じる。
 門脇麦は達者な女優だ。彼女が演じた役の中では尾崎将也監督の「世界は今日から君のもの」で演じた主人公小沼真実の役が一番よかったと思う。流行やパラダイムから一歩引いた役柄で、台詞が極端に少なくて、台詞よりも表情や身体の動きで気持ちを表現していた。役者にとって台詞で役を表現するのは常に難しいことだが、それ以上に難しいのは台詞なしでその役を表現することである。
 本作品でも他の役者に比べると台詞は少ない方で、それだけに難しい演技が要求されたと思う。演じた主人公榛原華子という役の、如何にも良家のお嬢様といった立ち居振る舞いは、それ自体がかなりの訓練が必要だっただろうが、そういう立ち居振る舞いを自然に行ないつつも、自分を取り囲む封建的な精神性に対する違和感のようなものを抱いていて、しかしそれをなかなか言葉に出来ない華子という女性の気持ちがひしひしと伝わってきた。見事な演技である。
 一方、地方出身だが東京で暮らすことで地方の封建的な精神性から一歩離れることの出来た女性を演じた水原希子は、本作品では自然体で演じているようですっと感情移入できた。特に石橋静河演じるバイオリニスト相良逸子と対峙するシーンの表情は秀逸だったと思う。緊張と弛緩、警戒と安心、共感と思いやりといった感情が、短いシーンでころころ変わるのを上手に演じている。岨手由貴子監督は女性の表情を引き出すのが上手い。

 普通が一番大変だというのが前半のキーワードで、結婚相手はどんな人がいいのと聞かれた華子は普通の人と答える。それに対する姉の言葉が普通がいちばん大変なのよという言葉だ。その後は暫く、普通でない男たちが華子の相手候補として入れ代わり立ち代わり、テンポよく現れる。よくもこれほど普通でない男ばかりを描いたものだと笑った。
 後半は女の幸せとは何かということを、お金の話も含めた現実的な側面も踏まえて追求しようとする。そういう中で華子は知らなかった世界と出逢い、新しい価値観を得る。箱の中のお嬢様から一歩脱却するのだ。狭苦しい場所に閉じ込められていた精神を解放して自由に生きる。ずっと俯いていた華子がやっと顔を上げて世界を見渡す。その晴れ晴れとした表情は演技派女優としての門脇麦の面目躍如である。
 女性が精神的な自由を得るには女性自身も変わる必要があるという作品だが、描かれていた、女性を取り囲む封建的な精神性は、実際に2021年の現在でも存在し続けている。本作品ではそういう精神性が世襲の政治家たちとその政治家に投票する地方都市に存在していることを描くが、同じ精神性が、先日辞任した森喜朗や彼を守ろうとした二階をはじめとする政治家たちの精神性に色濃く現れていたことを思い出した。日本はまだまだ不自由な国なのだ。

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耶馬英彦
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