「見るべき人のために作られていない映画」あのこは貴族 ようこさんの映画レビュー(感想・評価)
見るべき人のために作られていない映画
「はちどり」、「82年生まれ、キム・ジヨン」ときて出るべくして出た映画。テーマ設定だけでも褒めるだろう人だけが褒めるであろう映画だが役者がとにかく素晴らしい。が、それを収める構図が拙い。役者と原作に監督が追いついていない。
そしてなによりこういうテーマを孕む映画は「マッドマックス 怒りのデスロード」や「花束みたいな恋をした」、「ジョーカー」クラスに広まるべきとまでは言わないが、マジョリティに少しでも広まるよう本気で狙わなければただ賞レースのために社会問題を消費し、このテーマに対して元々教養や問題意識のある富裕層リベラルの内輪で再生産し続けるだけの消耗品にしかならない。この手のテーマありきで中心へ向かう意思のかけらもない映画を評価しても社会が全く良くならないことを映画における日本の評価機構はそろそろ学ぶべき。
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