「ウィーン黄金時代とは何だったのか?その精神性のバックグラウンドに迫ったドキュメンタリー」クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
ウィーン黄金時代とは何だったのか?その精神性のバックグラウンドに迫ったドキュメンタリー
通常、絵画鑑賞といえばそこに描かれている対象、技法、芸術性、テーマ、描き手の人生などを深く掘り下げていくことが常だが、19世紀から20世紀にかけてのウィーンの絵画を紐解こうと思うと、決してそれだけでは間に合わない。価値観の激変が起こった背景について、もっと多角的な角度からの検証が必要となる。
このドキュメンタリー映画は、ウィーン黄金期においてクリムトやエゴン・シーレといった芸術家たちが、精神医学などの影響も大きく受けながら、これまでの美のスタンダードを覆していった様子が、外堀から丁寧に埋めるかのような筆致で論じられていく。そのため、当時の芸術について大枠で捉えたい人にとっては次々と新しいことが摂取できてたまらない90分となるだろう。
ただ、タイトル通りの「クリムト」についてどっぷり浸かりたかった人は、ちょっと狙っていたものと違うなという印象を受けるかも。上級者向けにお勧めしたい一作だ。
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