「これはヤバイ」THE QUAKE ザ・クエイク Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
これはヤバイ
地震の話だよ。
冒頭から『地震がいつ起こるか解らない』って言ってるのに、突然主人公が『地震が、今、すぐ来る!』って確信するの。おかしいんだよ。
地震予知は現代科学ではできません!
どうも友人がトンネル内にネズミを置いていて、それが死んだら地震が来る合図だってことらしいの。地震の前にはガスが出るってことにしたらしいのね。
まあ、地盤が少し動いて割れ目ができて、そこからガスが噴き出すってのも、なくはないかもね。でも、ガスが噴き出し始めてから地震が発生するまで何日かかるかは、予想できないよ。
でも主人公は「地震が、今、すぐ来る!」って言って、家族を救うために走り回るの。
『主人公は地震予知ができた!』ってのは、フィクションとして許すとしてね、でも、その余地が全く役に立たないの。
大学にいる長男を建物の外に出すために『大学に爆弾を仕掛けた』って偽脅迫電話までして、それで大学では警報が鳴るんだけど、長男は建物の外に出ないんだよね。それで被災するんだけど、たまたま負傷しないっていう。お父さんが予知しようがしまいが、長男は無事なの。
妻を救いに行くぞ!って34階に上がるんだけど、そのときエレベーター使うんだよ。駄目でしょ。災害時にエレベーター使うなって散々言われてるでしょ。しかも『地震が、今、すぐ来る!』って確信してんだよ。
まあ、行きはギリギリ許容するとして、降りるときはエレベーター使っちゃ決定的に駄目。妻がああなったのは主人公のせいだね。予知が全く役立たない。
長女は主人公と行動を共にしてるんだけど、主人公が34階に上る前に『車で待ってろ』って言ってるのに『お父さんと離れたくない』ってことで34階に登ってしまい事態を悪化させる。だから、予知してんだって。誰も信じてないじゃん。
で、地震の描写は一瞬で終わって、それからは高層ビルから脱出するパニック映画。《タワーリング・インフェルノ》っぽかった。
ここでもね、主人公は長女をおぶれよと思ったね。それくらいできるだろって。長女が一人で頑張ってるから事態が悪化すんの。パニック映画のシーンをみせたいだけっぽいの。
そして最後にテロップで『ノルウェーは欧米諸国の中で地震が多い。大地震を学者は断言している。だがいつ起こるかは解らない』って出るんだけど、それでどうしろって言うのか解らないの。『いつ来るか解らないが、できる限りの備えをしましょう』って言うなら解るけど、作品中にそんなの一切出てこないの。「地震はいつか来るよ。ほーら来るよー。恐いねー。恐いねー」って言ってるだけなの。そんな作品つくんなよ。
もしかすると「地震は予知できる奴がいるから、誰かが『地震が、今、すぐ来る!』って言ったら、言うこと聞け」っていうのが教訓なのかな。そしたら長男は外に逃げ、長女は車で待機し、妻は階段で降りるから、全員被災しないかな。でも、もう一度いうけど、現代科学のレベルで地震予知はできないからね。万が一それが教訓だったら超トンデモ映画になっちゃうな。