「この世の不条理」スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 森のエテコウさんの映画レビュー(感想・評価)
この世の不条理
前作を越えて面白かった。
最後まで、スクリーンのこちら側が欺かれる展開。
これは、ネタばれでは興ざめ必至。
前情報ゼロでの鑑賞が最善。
以下、ネタばれではありませんが、鑑賞前の方は読まない方がおすすめです。
「ネット社会」と言われて久しいが、今作でもネット社会の危うさが、肌感覚で迫ってくる。
更に、愛着形成、性的嗜好、依存、虐待、組織的疎外等、様々な社会問題が散りばめられ、思考を刺激され飽きない。
価値観の多様性が加速し、匿名性が加速する現代。信じたものに裏切られ、人の欲望のために自分が傷つくとき、それでも人は他人を愛し続けることができるだろうか。
星新一のショートに、人類が最期、時間の滝底にあまねく落下してしまうというストーリーがあるが、移ろいが激しい現代社会において、時の流れに耐えながら踏みとどまり、自分と自分の立っている周りを改めて眺め回す力が、一人一人に求められる気がする。
エンドロールに流れるKing Gnuの『どろん』の歌詞にある「不条理」は、いつの世にも横たわっているが、人はいつまでもその不条理とのつきあい方を学び続けなければならないのかも知れない。
メインキャストのバトンを受け取った千葉雄大と白石麻衣がフレッシュで良い。
その他のキャストもそれぞれ良いが、演技がきれいにまとまっていて、ストーリーの面白さは浮かび上がるが、心底の怖さはなかった。
その点、もしかしたらあるかもしれない次作に期待!
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だるまんさんのコメント
2020年2月25日
「フレッシュでよい」、同感です。(元)アイドル出身の人は、「アイドルにしては演技がうまい」けど、「女優としては演技が下手」ですよね。口コミで悪くいうのは簡単ですが、応援したいところです。