劇場公開日 2019年9月13日

「演奏シーンだけで長編アニメを作るのはすごいことでは」BanG Dream! FILM LIVE ローチさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5演奏シーンだけで長編アニメを作るのはすごいことでは

2019年10月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本作自体に物語はなく、上映時間ほとんどすべてライブなので、映画というより3DCGキャラによるライブ・ビューイングみたいな作品なのだが、バンドリというコンテンツはやはり演奏こそ最重要というものだし、登場人物たちがライブという晴れの舞台を目指して頑張る話でもあるので、そういう意味ではこの映画の存在自体が物語の一部と考えた方がいいだろう。これ一本で完結するものではなく、メディアミックスで語られる大きな物語の一部という感じだ。監督がMVを手掛ける梅津朋美なのも演奏だけで魅せきるという意思の表れだろう。
しかし、演出的にもなかなかに面白く、手持ちカメラを持って楽屋裏を見せる長回しのショットはアニメではかなり珍しい表現だろう。3DCGキャラの芝居も実にセルルックに馴染んで自然に感じるし、演奏シーンのリアリティは文句なしの出来栄え。楽器演奏をアニメで描くのはすごく大変だと言われていた時代があるが、その演奏シーンだけで長編映画を作ってしまった。これは結構すごいことなのではないだろうか。

杉本穂高