9人の翻訳家 囚われたベストセラーのレビュー・感想・評価
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お金にどん欲になるのは悪いこと?
お金にどん欲になるのは悪いこと?
芸術作品を作品を金儲けの道具に使うな、これがこの映画のテーマなんだろうけどピンと来なかった。「自分の作品を金儲けに使うな」と怒るアレックスの気持ちが分からない。むしろお金に正直なエリックに感情移入できた。好きなことして、それが誰かに心を動かして、お金をいただく、幸せなことだと思う。
展開は想像と違ったけど面白い
話の流れが想像してたのと違った。最後の最後まで9人の中から犯人を予想しながら見るものと思っていたら、早い段階で犯人が判明したので驚いた。序盤は動きも少ないし、本の引用ばかりするインテリ集団に頭が疲れる。しかし、アレックスの企みが露見し、エリックが彼らを追い詰める辺りから急速に面白くなり始めた。
刑務所にて、アレックスがエリックに「自分が著者だ」告げるシーンは予想できなかったのでゾクゾクした。アレックスがやたら「著者に会わせろ」って言ってたのは、エリックがジョージズを殺害したと知ってたからなんだね。
最後の子供時代のアレックと書店経営者のジョージズが抱き合うカットが心に残る。あの一瞬の絵だけで、アレックスのジョージズに対する想いと、怒り、悲しみが伝わってくる。バリバリのミステリーというより、静かな復讐劇と楽しめた。思ってたのと違ったが、良い意味で裏切られたので満足だ。
犯人の本末転倒な動機や傲慢さに感情移入できなかった
他の方の指摘にもありますが、私も冒頭のシーンは火事だけではなく、点と点を繋げる「伏線」として殺人事件を描いておくべきだったと思います。真相にカタルシスが感じられないのは、伏線が機能していないからではないでしょうか?そもそも犯人の動機に連なる「文学に対する敬意」が出版社に足りないとしても、「商業主義に塗れるよりも売れない方がマシだ」なんて言う、青臭い考えには感情移入できませんでした。
あの社長にしても翻訳家を監禁しているとは言え、単に原稿の発売前の流出を恐れての事ですし、本当に死ぬまで働かせていたり、報酬を払わない訳ではないんですし、本人たちも同意の下です。何より社長の販売戦略によって世界的な大ベストセラーにしたのですから、いきなり作家(ジジイ)に「文学に敬意の無いお前の会社とはバイバイ」なんて言われたら、そりゃキレるでしょ(笑)。そんなに金儲けしたくなかったのなら、最初から無料公開にしとけよって話ですよ。二冊も出しといて今さら?矛盾してますよね。一冊目がヒットした地点で契約終了を宣告していればまだしも、三作目が大々的に宣伝されてから言うなんてそりゃ非常識すぎるでしょ。下手したら契約不履行か何かで逆に訴えられたり、ファンの期待を裏切ったりで、批判するつもりが逆に作家の傲慢さを批判されたりして、作品自体の評価を落としかねない。そんな事になったらそれこそ本末転倒では?
そもそも主人公が偏屈で融通が利かないから起こった悲劇であり、大好きなジイさんが殺されたのも、ある意味、自業自得。今まで通りにやってたら誰ひとり不幸にならなかったのにと思うと、やはりラストも「半分以上はお前の自己中心的な傲慢さのせいだぞ」と思えて釈然としませんでしたね。
本で読んでみたい
映像だとついていけないので、小説で読みたい作品。目まぐるしくてよく分からなかった…ギリシャ翻訳家とイタリア翻訳家はあまり役割がなかったような?? ドイツの翻訳家がそこそこの年齢のはずが可愛かった。デンマーク翻訳家の「夫のために産んだけど、子供は欲しくなかった。小説家という夢の為に頑張りたかった。」と泣くシーンが印象的だった。
高評価のワケアリ
似たような映画はたくさん見てきた。
なのになぜこの映画だけが特別に評価され、愛されるのか考えてみた。
構造的には、この映画は明らかにミステリー映画の分類に入るであろう。つまり、殺人などの犯罪行為ののちに、探偵が現れ、犯人が見つかるというものだ。
だが、その定義に当てはまらない要素がいくつかある。
まずは、犯罪行為そのものがないこと。
厳密には、殺人行為があるし、機密事項の漏洩がある。特定の立場の人にとっては、莫大な損失を被る犯罪行為であるし、撮り方によっては、犯罪を軸に話を進めていくことが出来るはずだ。
しかし、そうはなっていない。
あたかも、何か壮大なプロジェクトが進行しているかのような日常を描き、そのために集められたチームが立ち上がり、一見して順調に進んでいるかのように映る。
ところが、すぐに問題が発生し、その「犯人探し」が始まる。事態を収拾するための身代金が要求され、強硬な態度で突っぱねる。すると事態はさらなる悪化をたどる。
つまり、表向きはそのプロジェクトの進行と、謎の妨害者の、地味な攻防戦を描いたストーリーになっている。
一見してメンバーの中の誰が裏切り者なのかを突き止めていくミステリーなのだと思った。しかし、それもあっさりと覆される。
きっとこの人が探偵役なのだろうと思ったプロジェクトのリーダーが実は犯罪者だった。なぜか囚われの身であり、今まで何らかの悪事の主犯格だと思っていた若者がそれを追及する側だったという主客転倒が起きる。
鮮やかに。
これが最初のツイストだとするなら、この映画では3回も4回もツイストが仕掛けられている。きっとこの鮮やかなツイストこそが、この映画の高評価の秘密なのではないだろうか。
普通はそんなツイストを仕掛ければ仕掛けるほど、映画としては破綻していく。
その時は「あっ!」と、驚かされても、あとになって「いや、やっぱりなんかおかしくないか?」と思い直すことが多いのだ。
この映画にもちょっと苦しい言い訳がいくつか出てくる。
「いや、そのカードを切るんだったら、あそこの展開まるまる要らなかったじゃん」というような言い訳だ。
ネタバレなので書けないが、地味なスト―リーに少しでも派手で、観客をハラハラさせる冒険の要素が欲しかったのだろう。その違和感がぬぐえないまま、映画が終わってしまった。
よく出来た映画だとは思う。でも、世間的な高評価ほど、いい映画とは思えなかった。
こういう展開
ある有名な小説の翻訳を依頼された翻訳家達がある場所に集められた。
そこは、監獄の様な場所でそれぞれの自由を奪ってしまう。
そんな中その小説がネットで本編をバラすという脅迫が来た。
初めの方は、少し中だるみの様な感じがするなと思ったけど、後半にかけてどんどん展開が変わっていきました。
仲間との擬視暗鬼になっていく。
編集者がどんどんと悪いやつになっていく感じも面白かった。
最後のトリックや話のどんで返しもけっこう魅力的な作品だと思った。
フーダニット・ハウダニットに少し驚き、ホワイダニットにほろりとくる一作
本作は架空の世界的ベストセラー小説「デュダリス」の最終巻出版前に小説の原書がネットに一部流出。
作品を人質(?)にとられ、出版社側に身代金を要求される展開となる。
容疑者は世界同時リリースに向けて、招聘された欧州を中心とした各国の翻訳家たち。
はたして犯人は誰で、何が目的なのか?
何かと世間をさわがせているラングドン教授シリーズ小説製作の裏側から着想を得たという本作。
2か月間隔離の上、情報漏洩対策として外部との通信を遮断された極限状態自体は実際にあったというから驚きである。
さらにそこへ来ての謎の人物からの情報漏洩。
極限状態は過酷さを極める。
ミステリものにはつきものの二転三転するストーリーは観ていて飽きない。
また、犯人からすべてを明らかにされ、動機を知った時ほろりとくる一作。
映画ももちろんだが、文学もまた大切な財産だと。
作家さんたちとその作品を愛する者の貨幣価値では測れない愛情を感じる作品だ。
睡魔と戦いつつ、やっと見終わった。
睡魔と戦いつつ、やっと見終わった。ミステリーなのだろうから、ネタバレは絶対に出来ないが、結末は、3分の1位見て、分かった。根拠はただ一つ、『誰が』ではなく、『誰しか』である。
それは兎も角、何故9人にしたのだろう?どこかで(眠くて、30分くらい吹っ飛んでいる)語られているかもしれないが、オリエント急行の件が出てくるので、単純にその設定にしたと確信した。だから、設定からして、最低のミステリーだと思う。全くの緊迫感がない。間抜けの40分位の映画で、映画館で絶対に見るべきではないし、感動する所が無い。勿論、ドキドキ感も全く無い。
そもそも『ダ・ヴィンチ・コード』もそうだが、現代のミステリーはミステリーとしては面白くない。現代は、事実があまりにも想像し難く『事実は小説よりも奇なり』になっていると思う。やっぱり、シャーロック・ホームズの時代でミステリー小説は終わっていると思う。アガサ・クリスティーはただの犯人あてゲーム本だと僕は思う。何故なら、ドキドキ感が無いから。『バスカビルの犬』を読んだ時はハラハラドキドキだった。
全体的に消化不良な作品
最初はミステリー系なのか、謎解き感覚で視聴したものの、途中から謎解きではないらしいことが発覚。とは言え、そこからのスピード感のある展開自体は退屈せず見れた。映画自体もコンパクトに作られているなとも感じる。
世界的ベストセラーらしいミステリー作品であるのだから多少内容についても踏み込むのかと思いきや、実際どんな作品だったのかもほとんど分からない。アレックスによる不用意な犠牲者を伴うただの復讐劇、といった印象。
登場人物も各々個性はあるのだが、どの人物に対してもこれと言った感情が一切湧かなかった。この点において消化不良を感じる人も多いのではないだろうか。
フランス映画ですね、という感じ
前半はフランス映画特有の、湿っぽいゆったりした感じで、寝落ちして4回ほど見る羽目になった。
ただ、後半の伏線回収は秀逸で、前半とのテンポの対比もあり、緊張感と「いけるか??大丈夫なんか??」という気持ちでいっぱいだった。
代理の作者であった、おじいさんが殺されてしまっていたところは、そこまでしなくても、、まあフランス映画に心残りのないハッピーエンドはないか…と感じた。
本作で青年を演じた、アレックスローサー主演のNetflix作品「このサイテーな世界の終わり」も見たいところ。
フレンチコネクション2を思い出した。
色々な言語が使われる、ヨーロッパらしい作品。シナリオがよく練られていて、オチも素晴らしい。フレンチコネクション2を彷彿とさせる電車と車の競争(?)シーンもあり、楽しめた。カトリーナ役のウクライナ人女優は恐らく初めて見たと思うが、なかなかの美人。
設定は面白いけれど退屈だった
設定が目新しいだけで、見終えてみると意外とありがちな結末だったような気もする。
金の亡者だったのかもしれないけれど、アングストロームが何だか小物に思えて、いくら大切な人の命を奪ったからといって、そこまで壮大に破滅させなくてもと思ってしまったりもした。
犯人こそ最低じゃないか
うーん
見終わったあとむかむかする映画
だれもレビューで突っ込んでないのも気になるけど
広告代理店のおじさんはたしかに利益にばかりこだわり目的を見失っているが、
はめた犯人こそ、顔も名も出さない、度胸もなく、ベストセラーにしてくれたやつを一方的に恨むってどうなの?こんな学生気分の芸術気取りが多いから本の世界や映画は衰退するような気もする
仕事する人、広告を打つ人、マーケーティング含め、物を売る、読んでもらう、読んでもらうためにはまず知ってもらう、興味を持ってもらう、そのプロセスこそ大変なのに。主人公は物を売ることがら何かわかっていない。むしろ感謝すべきとこを軽蔑している勘違いヤロウ。作り手の思いが欠けている。周りの人の助けがあること忘れエゴ的に振る舞った結果の悲劇にしか見えない。
透明でいる理由
翻訳者です。ついうっかりタイトルに釣られました。
一か所に集められて閉じ込められた経験こそありませんが、大きなプロジェクトのためにいろんな背景を持つ翻訳者とともに集められたり、機密保持のためさまざまな干渉や制約を受けたり、またその機密のために仕事を人に見せられず、時々本当に透明人間ぽかったり、自分にも似たような経験がいろいろあったので、それがミステリの小道具になっているのはちょっと面白かったです。自分の専門以外の言語も使える人がいるのもあるあるで(多分言語オタクが多い)それで戦おうとする場面は楽しかったし、失敗してしまったのは悲しかったです。
ただ、ネタバラシになるとちょっとつまらなく感じてしまいました。
主人公は編集者が翻訳者を家畜のように扱うのが許せないと言いますが、自分も結局彼らを共犯者ではなく道具として扱っていますよね。正直なんやねんという気持ちです。
また、彼が覆面作家でいたかった理由もそれだけ?と思いました。
翻訳者には作家志望もいますが、いろんな理由で透明人間の方が良いという人もいるはずです。そういうタイプの翻訳者と主人公の透明でいたい理由を対比させながら掘り下げれば、彼がこういう復習を企てた理由をもっと痛切なものとして感じられたのではないかと思います。なぜなら彼が透明人間でいたことも彼が大事な理解者を失った理由のひとつだからです。
地下での労働
出だしから怪しさ満載でした。翻訳の仕事をシェルターでやり、2ヶ月間外部との接触禁止とか…。
雇われた9人の翻訳家も個性があって面白かったです。まさかシェルターに来る前に何人かは知り合っていたとは驚きです。ラストにも驚かされました。最後まで誰が悪か分からなかったけど、結局は…って感じです。最後まで惹きつけられました。
伏線回収好き
伏線回収、謎ときが好きな方は満足できる作品じゃないかなと思いました!
アレックスの頭脳すごい、、
それこそ、ダヴィンチコードシリーズのラングドン教授みたいな明晰さ。
でも、死者が2人も(1人重体も)でた大騒動。
アレックスが招いた種だけど、罪ではない。作者は彼自身だったし。罪にするの無理(笑)
余談ですが他のレビューにもチラホラありますが、やっぱりエリックってマトリックス でてましたよね?!!!既視感
あと思ったのは、皆話せるの母国語+フランス語だけって訳じゃ無いのね(笑)すごいなぁ
不自然なミステリー
ダビンチ・コードなど隔離翻訳作業は実話としても双方が納得ずくの契約なら非道とも言えませんね。話題性に加えてミステリーとして密室ではありませんが世間と隔離されたシチュエーションが欲しかったのでしょう。頭の30分は例によって人物紹介、退屈で閉口した、やっと恐喝メールが出てきて犯人探し、閉鎖空間で疑心暗鬼なら何か事件が起きるでしょう、かと思ったら終盤に来て本筋は別との種明かし。
目的がそうであるなら、他人を巻き込まずとも別のやり方があったでしょう、どうもシチュエーションが無理くりで不自然、ミステリー仕立てに拘るあまりいじりすぎましたね。
娯楽的風刺
こんな感傷的な話と思わなかった。
文学と商売ってむつかしいもんね。
とはいえ、ほとんどの作家にとって、書く行為はお金に直結しているとは思いますが、行きすぎた拝金主義は、もはや書籍の世界だけではありませんから、うんざりっていうのもよくわかります。
ミステリーというかたちはとっているけど、ミステリーとしてみると、不必要に脇にそれることが多く、前半少し集中できませんでしたが、後半に向け、自分の夢とか思い出したり、この世界の嫌らしさとかに目を向け始めると、グッと来ました。
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