「今ひとつの物語とビジュアル」鹿の王 ユナと約束の旅 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
今ひとつの物語とビジュアル
2015年本屋大賞を受賞した、上橋菜穂子が描いた小説『鹿の王』のアニメ映画化。原作も、発刊当時に既読。内容的には、大変壮大なストーリーで、中東アジアを想起する仮想の国を舞台としたファンタジー作品。原作を読む時は、名前がとても難しく、読み難かった記憶がある。上下巻の長い原作の為、かなり端折った映画化となっている。
戦士団「独角」の最強戦士と言われたヴァンは、帝国・東乎瑠に敗れ、岩塩鉱に奴隷となって働いていた。そんな折、山犬たちの群れが岩塩鉱を襲い、紫の湿疹と共に命を奪う病・黒狼熱を感染させる。その隙に、山犬のかまれながらも、何とか逃げ出したヴァンは、その場にいた幼い少女ユナを、死んだ自分の子どものように思えて、助けて連れていくことに。
一方、その病が、東乎瑠の民だけにかかると知った王幡領では、天才医師ホッサルが、その治療法のワクチンづくりをしていた。そのワクチンには、山犬にかまれても病を発症しなかったヴァンの血液が必要と知り、ヴァンを探しに出る。
声優として、ヴァンを堤真一が渋い声を響かせていた。また、医師ホッサルを竹内涼真が穏やかな声で優しさをにじませていた。そして、ヴァンを追う謎の戦士サエを杏が務めている。
作品としては、『もののけ姫』と重なる所もあり、ややストーリー展開や映像のビジュアルにおいても、一昔前のアニメの様な感じで、それほどの感動や新鮮味は感じられなかったのは、原作を知る者としては、すこし残念だった。
コメントする