「私たちの戦いはこれからだ!的な終わり方」BLACKFOX 新宿と池袋で観る人さんの映画レビュー(感想・評価)
私たちの戦いはこれからだ!的な終わり方
「どうだ!この近未来忍者アクション!」と言わんばかりのアクションは確かに良かったです。
ですが、個々のアクションを除いたストーリー、演出、構成、キャラクターなどが酷い内容。
20年前のOVAを観てる気分でした。
具体的には少しネタバレになりますが、序盤で「復讐を誓ったヒロイン、そして時は流れて~」という展開になるものの、劇中ではたったの半年しか経っていない。
敵は私設軍隊を持ち、家族を皆殺しにするほどの世界的大企業。
ヒロインも殺される寸前で何とか危機を脱したというのに、しかもその間に修行をして腕を磨く訳でもなく、身を隠して敵の目をごまかす訳でもなく、相変わらず敵がいる街で素顔を晒して生活していたことに驚愕。
どれだけ呑気な世界なのか…。
結局のところアクションシーン以外の部分は、ヒロインのライバルキャラと百合展開を始めるための理由付け程度の存在。
復讐とは何の関係もないので、観ていて感情移入も高揚もありません。
さらに「実はあのキャラの正体は◯◯で…」的な流れがあるのですが、そのキャラとの出会いの説明も関係性の掘り下げも何もありません。
加えてヒロインとは関係の無いところで正体を匂わせるシーンが観客向けに唐突にあります。
そのため、そのキャラが正体を晒してラストバトルに参戦→最後にヒロインたちの横に並んで颯爽と次の戦いに向かうシーンには感動ではなく正直「うーん」という微妙な感想。
そして唯一の見せ場である筈のアクションシーンも、終盤では完全に力尽きて低クオリティな映像になってしまうのも残念。
個人的には開始10分で「あ、これもしかしてつまらない?」と思い始め、開始から30分経つ頃にはもう席を立ちたくなる内容でした。
あいにく私は中央の席だったので回りの迷惑を考えて最後まで観ましたが、実際に端の席の人は途中で退出して戻ってきませんでした。
エンドロールの後、観客が全員無言で淡々と立ち去っていたのが全てを物語っていたと思います。